【画像で分かる】「インボイス」始まると何が変わるの?

2023/09/24 11:00

インボイス、10月スタート──画像1/7 10月から始まるインボイス制度については、廃止や延期を求める声があがっています。それはなぜなのでしょうか?インボイス制度とは、そもそもどのような仕組みで、制度が始まると何が変わるのでしょうか?また私たちの生活にどういう影響があるのでしょうか? インボイス制度

インボイス、10月スタート──画像1/7

インボイスが始まると何が変わるの?
(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

10月から始まるインボイス制度については、廃止や延期を求める声があがっています。それはなぜなのでしょうか?インボイス制度とは、そもそもどのような仕組みで、制度が始まると何が変わるのでしょうか?また私たちの生活にどういう影響があるのでしょうか?

インボイス制度で消費税の納税額の計算方法が変わる──画像2/7

「インボイス」始まると何が変わるの?
(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

インボイス制度が始まると、消費税の納税額の計算方法が変わります。まずは消費税の仕組みを簡単に見てみましょう。

私たちは買い物のときに消費税を支払うので、「納税している」感覚になりますが、実際には、受け取ったお店などの事業者が、まとめて納税をしています。事業者は、”受け取った”消費税額から、商品の仕入れ先などに”支払った消費税”額を差し引いて、消費者が支払った消費税を納税しています。

インボイス制度が始まると、この”差し引き”ができなくなる可能性があります。たとえば、お店が商品を仕入れた先の事業者(メーカーや問屋など)がインボイスを発行できないと、お店は、消費者から”預かった”消費税を、メーカーや問屋に支払った消費税額から、差し引けなくなくなります。

インボイスを発行するには?──画像3/7

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(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

それではどうすればインボイスを発行できるかというと、登録申請して、登録事業者になる必要があります。

ただし、登録事業者になれるのは「課税事業者」だけです。

事業者は課税売上額によって、納税を義務付けられている「課税事業者」と免除されている「免税事業者」に分かれます(売上1000万円などの基準がある)。免税事業者は、インボイスを発行するためには、課税事業者にならなくてはいけません。これまで免除されていた消費税を納税しなければいけなくなるわけです。

インボイスの目的は正確な消費税率・税額の把握──画像4/7

「インボイス」始まると何が変わるの?
(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

そんなインボイス制度ですが、なぜ始まるのでしょうか。目的の一つは、取引の正確な消費税率と消費税額を把握することとされています。

課税事業者(インボイス登録事業者)が発行するインボイスがあれば、取引で支払った消費税の税率と税額が記録され、納税すべき額の証明になります。消費税には軽減税率があって、消費税といっても8%と10%がありますが、インボイスにはここも分けて記載しなければいけません。

インボイスにはもう一つ目的がある?──画像5/7

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(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

インボイス制度が始まるもう一つの目的といわれているのが、「益税の解消」です。

免税事業者は、消費税の納税を免除されています。取引先(消費者など)から”預かった”はずの消費税を、納めなくていいということです。この分が、自社の利益になるため、”益税”と呼ばれているのです(益税については、存在を否定する意見もあります)。

インボイスが始まって、免税事業者も課税事業者になれば(そして登録してインボイスを発行するようになれば)、”益税”はなくなるわけです。

課税事業者は納税額が増えるかも──画像6/7

「インボイス」始まると何が変わるの?
(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

インボイス制度が始まると、課税事業者の納税額が増えると予想されています。なぜなら、納税額を計算する際、インボイス登録事業者からの仕入れにかかった消費税”しか”、差し引けなくなるためです。免税事業者からの仕入時に支払った消費税の分を差し引けないので、その分、税負担が増えることになります。

たとえば、受け取った消費税が5万円、支払った消費税が3万円だった場合、課税事業者がこれまで納税していた額は、5万円から3万円を引いた2万円でした。

しかし、インボイス制度が始まり、支払った消費税のうちインボイスがある仕入れが2万円だった場合、預かった消費税5万円から差し引ける消費税は2万円だけになり、納税額が3万円になります。実質1万円の増税となってしまうのです。

免税事業者はどうなる?消費者は?──画像7/7

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(画像=鈴木愛子/dメニューマネー編集部)

負担が増えるかもしれない課税事業者は、もしかしたらその分の負担を免税事業者に求めるかもしれません。このため免税事業者は、たとえば取引の打ち切りや、負担増加分の値引き交渉を受ける可能性があります。だからといってインボイスを発行できるよう、課税事業者になればの益税分の収入が減ってしまいますし、納税手続きのためにシステムを導入したり、書類を作ったりという負担も増えます。

ただし、免税事業者であることを理由にした一方的な取引停止や値下げの通達、インボイス登録事業者になるよう要請することは下請法違反になる可能性があります。

消費者への影響は、始まってみないと分かりませんが、事業者が納税の負担増加分を商品価格に上乗せし、商品が値上がりするかもしれません。

構成/デザイン・鈴木愛子(フリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

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