住宅ローンといえば、フラット35という商品名のように、一般的な最長期間は「35年」でしたが、住信SBIネット銀行 <7163> が2023年8月から最長50年の商品取り扱いを始めました。住宅を買う消費者の大きな負担を減らすために考えられましたが、注意も必要です。
メリットは月々の返済額が低くなること
50年ローンはこれまでの35年ローンと比べて借入期間が長くなった分、月々の返済額を低く抑えられます。
たとえば5000万円を借入れる場合、35年ローン(年利0.32%)では月々の返済額は12万6000円ですが、50年ローン(年利0.47%)では9万4000円となり、約3万円低くなるため返済が楽になります。
しかし、返済総額を比べると、35年ローンでは5286万円ですが、50年ローンでは5612万円となり、326万円高くなることには注意が必要です。
50年ローンについて有識者たちの見解はさまざま
50年ローンについて「有効に使える」という見解もあれば、否定的な意見もあります。住宅ローンを選ぶときはさまざまな見解を参考にして、良く考えたうえで判断しましょう。
使えるけど注意が必要という意見
YouTuberとしても活動するもふもふ不動産のもふ社長はこの50年ローンについて、これからのスタンダードになる可能性があると述べています。しかし、金利が上がったときは返済が厳しくなることや、さらには返済額のほとんどが利息の支払いになり、元本がなかなか減らなくなることを懸念しています。
また、住宅ローンアナリストの塩澤崇氏は、引越しの理由などにより住宅を売ると多くの残債が出る可能性があるので、資産性の高い住宅を買う、もしくは引越ししない前提で家を買うといった計画が必要だと述べています。
使わないほうがいいという意見
一方、使わないほうがいいという意見もあります。主な理由として、前述したように返済総額が増えるとともに、定年退職した後もローンの返済が続くため、老後に返せなくなる“住宅ローン破たん”の懸念があることが挙げられます。
65歳以降や定年後も長く働いたり、資金に余裕があるときに繰り上げ返済したりするなど、うまく残債を減らように計画する必要があるでしょう。
文・三澤智史(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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