老後の生活において、国民年金や厚生年金などの公的年金は収入の大きな柱になります。しかし、将来もらえる年金額は人によって大きな差があり、過去の納付状況によっては年金がまったくもらえない「無年金」になることもあります。今回は、現在日本でこの「無年金者」がどのぐらいいるのか、そして年金をもらうために今からできる対策をご紹介します。
自分がもらえる年金は何?種類をチェック
まずは公的年金の種類をおさらいし、「自分がもらえる年金は何か」を把握しましょう。
日本では、すべての人が安心して暮らせるように公的年金制度が用意されています。公的な年金には、「国民年金」と「厚生年金」があります。
【国民年金】
日本に住所がある20歳以上60歳未満の人が加入します。老後にもらう年金を「老齢基礎年金」といい、原則として65歳から受け取ることができます。
【厚生年金】
会社員や公務員などが、国民年金に上乗せして加入します。老後にもらう年金は「老齢厚生年金」といいます。 老齢厚生年金は、性別や生年月日に応じて60歳から段階的に引き上げられた年齢から受け取り、65歳からは国民年金と合わせて受け取ることができます。
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年金がゼロの無年金者は推定56万人?
現在年金をもらっていない人がどのぐらいいるのかを見てみましょう。厚生労働省年金局が2018年に発表した「平成28年公的年金加入状況等調査・結果の概要」によると、65歳以上の公的年金非加入者のうち、公的年金受給者を除いた「その他の非加入者」は96万人となっています。
この「その他の非加入者」の中には、公的年金を受給できる年数を満たしていない人のほか、受給する権利はあるが、受給の繰下げをするのでまだ受給していない人も含まれます。したがって、年金がもらえない人の数を知るには、「その他の非加入者」から「繰上げ受給を待っている人数」を除く必要があります。
同じく厚生労働省年金局が2019年に発表した「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2016年に国民年金を受給している人の中で、繰下げ受給の割合は1.2%となっています。公的年金加入状況等調査に戻ると、公的年金加入・受給者の総数は3,353万6,000人なので、その1.2%である約40万人が繰下げ受給を待っていると考えられます。
したがって、まったく年金をもらえない無年金者は「その他の非加入者」96万人から年金の繰下げ受給を待っている40万人を引いた56万人程度と推測できます。
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空白期間は今すぐ対処を!
・2年以内ならさかのぼって納められる
国民年金保険料は、納期限(納付対象月の翌月末日)から2年以内であれば、さかのぼって納めることができます。2年を超えると時効になり納めることができなくなるので、未納期間を見つけたら早めに納付しましょう。
・保険料を支払えない場合の任意加入制度の検討を
未納のまま何もせずに2年以上放置すると、保険料を払うことができなくなります。それでも将来の年金額を満額に近づけたい場合、「任意加入制度」を利用する方法があります。この制度では、60歳から65歳の5年間で未納分の保険料を納めます。
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今からできる対策を
年金をもらうには資格期間を満たす必要がありますが、2017年8月からは必要な受給資格期間が10年に短縮され、長い間保険料を払っていなかった人でも、今から保険料を払うことで将来年金をもらえる可能性が高くなりました。老齢年金は終身でもらえる数少ない年金の1つなので、自分の納付状況を確認し、確実に受給できるようにしておきましょう。
文・fuelle編集部