せっかく作った遺言書が無効になると、希望通りに遺産を引き継げないだけでなく、相続争いから家族が仲違いしてしまう恐れもあります。次の3つのポイントを知り、遺言書が無効にならないようにしましょう。
1 書き方のルールが守られていない
遺言書には書き方のルールがあり、ルールが守られていないと無効になります。
たとえば、遺言書の本文は自分で書く必要があり、パソコンで作成して署名しただけでは遺言書として認められません。また、日付が書かれていない、押印がないといった場合も無効になります。
遺言書は手書きで作り、氏名や日付を書いて忘れず押印しましょう。日付については、年度の書き忘れや「●月吉日」といった表現のせいで無効になることもあるため、気をつけてください。
不動産を相続するときは、とくに書き方に注意が必要です。「●●県にある土地」など、身内にしか分からない表現は認められていないので、登記簿謄本を取って正確に所在地を書きましょう。
2 認知症になってから作られた
認知症になってから作られた遺言書は、無効になる恐れがあります。
遺産を誰に相続するか決めるには、判断力が必要です。しかし認知症が進むと、自分の意思でものごとを判断できなくなることがあります。
そうなると、悪意のある家族が自分に有利な遺言書を作らせることもできてしまいます。このような悪用を防ぐため、遺言書を作ったとき本人に判断力があったかどうかが重視されます。
「まだ先の話だ」と決めつけず、なるべく元気なうちに遺言書を作りましょう。
ただし、認知症になってから作られた遺言書がすべて無効になるわけではありません。認知症の診断でよく使われる長谷川式認知症スケールの点数や要介護認定などを踏まえて、個別に遺言書が認められるかどうかが決まります。
3 相続人の権利を侵している
相続人の権利を侵害する遺言書は、無効になることがあります。
配偶者や子、父母などの相続人は、一定の遺産を受け取れることが法律で決められています。
たとえば、配偶者と子1人の合計2人が相続人なら、配偶者と子はそれぞれ遺産の4分の1を受け取る権利があります。「遺産をすべて子に相続する」という遺言書があっても、配偶者は4分の1を受け取る権利を主張できます。ただし、配偶者が権利を主張しなければ、遺言書は無効にはなりません。
無効になるリスクを減らすため、遺言書を作るときは、相続人の権利を侵さないよう遺産の分け方に気を配りましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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