遺言書の保管場所によっては、せっかく作った書類が無駄になったり、かえってトラブルを招いたりすることがあります。保管場所で起こるトラブルを知り、よく考えて遺言書の預け先を決めましょう。
1 自分でしまう──誰にも気づいてもらえないことも
遺言書を自分でしまっておくと、誰にも発見されず、無駄になってしまうことがあります。
遺言書の保管場所として思い浮かぶのは、机の引き出しや天井裏、仏壇などです。しかし、保管場所を家族に伝えてしまうと、中身を見られる恐れもあります。
かといって、遺言書がどこにあるか誰にも伝えていないと、遺された家族は話し合いで遺産を分けてしまうかもしれません。
遺産を分けてしばらく経ってから、遺品整理中に遺言書が見つかり、トラブルになることもあります。
たとえば、話し合いで兄が不動産を相続しすでに売却したあとで、不動産は弟に相続するという内容の遺言書が見つかったら、弟は簡単には納得できないでしょう。遺言書のせいで、かえって家族が仲違いしてしまうかもしれません。
2 家族に渡す──相続争いに発展することも
身近な家族に遺言書を渡しておくという方法もありますが、家族も相続人だとかえってトラブルになることがあります。
遺言書が手元にあると、つい誘惑にかられて中身を見てしまうかもしれません。もし自分に不利な内容なら、遺言書の存在を隠し、話し合いで遺産を分けようという考えが浮かぶこともあります。
逆に、遺言書を持っていた相続人に有利な内容だと、ほかの相続人は遺言書の偽造を疑うかもしれません。一度疑いが生まれると、たとえ疑いが晴れたとしても、疑ったほうにも疑われたほうにもわだかまりが残ります。
3 友人に渡す──周りに言いふらされるリスクがある
信頼できる友人に渡すのも1つですが、ここにも多くのトラブルの芽がひそんでいます。
まず、友人が遺言書をなくしてしまい、家族の手に渡らないリスクがあります。しっかり者の友人でも、高齢になって介護が必要になれば、自分のものを管理するのも難しくなります。なくしたことに気づいても、遺言書のような大事なものだと言い出しにくいものです。
また、長年の友人でも、認知症になって怒りやすくなったり疑り深くなったりして、仲違いしてしまうこともあります。認知症で判断力がなくなると、中身を人に見せたり、言いふらされてしまったりするリスクもあるかもしれません。
さらに、友人が先に亡くなると、遺言書がどこにあるか分からなくなることがあります。悲しみに暮れる遺族には聞きづらく、聞いたとしても真剣に取り合ってくれないこともあります。
2020年からは、自分で作った遺言書を法務局に預けられるようになりました。身近なところに遺言書を保管しているとトラブルになりやすいので、法務局に預けることも考えましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
【関連記事】
・「老後破産」しないために読みたい
・ブラックリストでも作れるクレカ5選【PR】(外部)
・今持っている株を売って新NISAで買い直したほうがいい?
・会社に転職活動がバレない転職サイトの機能
・「dジョブスマホワーク」で高ポイントをもらう方法