日本株は「10月に買うと年末の株高が期待できる」と言われているが、これは日経平均のデータから分かる。日経平均のデータを参考に、年内の株式市場を占うポイントを整理してみたい。
株式市場は年末にかけた上昇が期待 11月と12月は上昇しやすい
株式市場には動きに季節性がある。
たとえば、日経平均の月間の勝率(2008年リーマンショック以降、月間の上昇率がプラスだった年の割合。たとえば、勝率70%の月とは、過去の年のうち7割の年で、その月が株価上昇で終わったことを意味する)をみると、11月と12月が73%と圧倒的に高い。次いで4月と5月が63%だ。逆に勝率が悪いのは、8月の44%、1月の50%、10月の53%である。
さらに長い期間(1976年以降)で見ても、勝率が高いのが12月(68%)、11月(66%)、4月(65%)である。悪いのが7月(46%)、9月(48%)、8月(50%)、10月(51%)だ。年による傾向はほぼ似ている(Quickマネーワールド「マーケットカレンダー」より)。
ベスト | ワースト | |
---|---|---|
1 | 12月(68%) | 7月(46%) |
2 | 11月(66%) | 9月(48%) |
3 | 4月(65%) | 8月(50%) |
年間の日経平均の動きには1年を通して傾向がある。4〜5月にかけて上がり、夏場(7〜10月)に下がり、再び年末に大きく上げるというもので、こうした傾向は“アノマリー”とも呼ばれる。
このリズムは、投資資金の流れで説明されることが多い。夏場は投資家が夏休みで市場参加者が減り、市場のエネルギーが低がる。4〜5月は日米ともに税金の還付があり、年金資金にはその年の新規資金が配分される。市場に新規資金が流れ込み、市場のエネルギーが上がるというものだ。
株式市場は10月に転機を迎える傾向
米国株にも同じようなリズムがある。今年の米国株は、インフレが長期化していることや、長期金利が上がっていることなどから、主要株価指数であるS&P500が9月には4.9%下がった。
ただ、年初来安値は更新していない。また、投資会社カーソングループのストラテジストであるライアン・デトリック氏も、年末にかけて戻る可能性が高いと指摘している。
過去のデータを見ると、9月に3%以上の下落した年で、年初来安値をつけなかったことは過去に6回あった。うち5回は10月に反発してプラス(平均3.5%高)になっており、10〜12月については6回ともプラス(平均9.3%高)だった。2023年9月のNUYダウの下落率は3.5%、S&P500は4.87%、ナスダック総合は5.81%となっている。
さらに、弱気相場(直近の高値から10%以上の下落)は1945年以降で18回あった。そのうち7回は10月に底をつけている。10月は相場が転機となりやすい月だと指摘している。
米国市場が強気転換するのなら、日本株も期待できそうだ。
日本株高は企業業績と外国人買いがトリガーに
日経平均が上昇するならば、きっかけとなるのは企業業績と株式需給と考えられている。
こうした中で発表される2023年9月期の決算には、期待が持てそうだ。2月決算会社では、コロナ後の経済リスタートで、ファーストリテイリング <9983>、セブン&アイ・ホールディングス <3382> などが好決算を発表した。円安も後押しし、輸出関連企業を中心に3月決算の企業業績は上振れする可能性がある。
これから年末にかけての動きを予測する上で覚えておきたいのは、10〜11月は海外投資家の買いが入りやすいことだ。
2022年は10月に1464億円、11月に1兆2873億円買い越した。2021年も11月こそ2877億円売り越したが、10月は6937億円買い越した。
2020年は10月に3778億円、11月に1兆5113億円買い越している。今年前半に日本株が高かったが、これは外国人買いが主体だった。年末にかけて、外国人投資家からの投資に大きな期待が集まる。
ただし注意すべき点もある。金利とインフレの動向だ。
金利の上昇は、株式市場にはマイナス材料となる。インフレ懸念により米国の長期金利は10月に16年ぶりとなる4.8%まで上がっている。
またイスラエルでの紛争が拡大した場合も、原油高などで株式市場にはインフレ要因となる。金利とインフレの動向は市場の波乱要因として注視したい。
文/編集・dメニューマネー編集部
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