きちんと支払われなかった残業代、いわゆるサービス残業代は、さかのぼって請求できます。ただし、会社に直接伝えるだけでは払ってもらえないことがあり、時間が経つと時効でもらえなくなる恐れもあります。サービス残業代の請求方法を知り、時効がくる前に手を打ちましょう。
3年過ぎると時効で請求できなくなる
サービス残業代は、過去3年までさかのぼって請求できますが、3年を過ぎた分は時効となり請求できません。
2022年に労働基準監督署の指導で100万円以上の未払い賃金を支払った事業所の数は1,250件もあり、受け取った労働者は6万800人にのぼることが厚生労働省の「監督指導による賃金不払残業の是正結果」(2022年)で分かっています。
「どうせ言っても払ってもらえない」とあきらめず、まずは証拠を集め、未払いの残業代を計算し、次のような方法を試してみましょう。
方法1 内容証明を送る
退職後や転職後にサービス残業代をさかのぼって請求するときは、会社宛に内容証明を送るという方法があります。
内容証明なら、どんな文書を誰が誰に送ったかを郵便局が証明してくれるため、訴訟になったときの証拠になります。実際に訴訟を起こすかは別として、内容証明を送ることで、会社側にプレッシャーを与えられるでしょう。
また、残業代請求の時効は3年ですが、内容証明を送ることで時効が6ヵ月間ストップするため、請求できる残業代が減るのを防げます。
内容証明は、弁護士に依頼しなくても、自分で文書を作って郵便局から送れます。請求書や通知書などの見出しで、請求期間や請求金額、振込先の銀行口座などを書いた書類を作りましょう。
方法2 労働基準監督署に相談する
内容証明を送ってもサービス残業代が振り込まれないときや、在職中に請求したいときは、労働基準監督署に相談するのも1つです。
労働基準監督署は、法律を守らない会社を指導してくれます。タイムカードや業務メールの履歴、日記などの証拠を集め、未払いの残業代があると示せば、労働監督署が力になってくれるかもしれません。
時効のせいで請求できる残業代が減ることもあるため、早めに行動を起こしましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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