ファミレスの閉店ラッシュが続くなかで、サイゼリヤ <7581> は絶好調だ。足元の売上高(2023年8月期決算)は過去最高、株価は1999年以来、24年ぶりとなる高値を9月につけた。同業他社と異なり、値上げをしない戦略をとる同社が成長している理由に迫る。
サイゼリヤの売り上げが過去最高、株価は22年末比で2倍
アフターコロナでファミレスに人が戻ってきている。ファミレス最大手、すかいらーくホールディングス <3197> (以下、すかいらーく)の売上高(2023年12月期予想)は17%増の3550億円だ。ただ、過去最高だったコロナ前(2019年12月期)と比べると200億円程度少ない水準だ。
一方、業界2位のサイゼリヤの今期(2023年8月期実績)の売上高は27%増の1832億円と過去最高を記録した。すかいらーくの成長率を10ポイントも上回っている。
株価は9月に1999年につけた過去最高値を24年ぶりに更新。すでに昨年末比で2倍になっている。
サイゼリヤは値上げをしない戦略を貫き、閉店もペースも緩やか
サイゼリヤの最大の魅力は、低価格でおいしいことだ。ファミレスなど外食業界や食品業界では、原燃料費の値上がりから値上げラッシュだが、サイゼリヤは値上げしない戦略をとっている。
松谷秀治社長はインタビューで、300円(税込み)の「ミラノ風ドリア」など自社の低価格路線をつづけており、「価格の面で非常に優位性がある」として値上げをしない方針を語っている。
ファミレスに人は戻りつつあるが、店舗は減っている。2019年12月には9230店舗あったのに、2023年末には約8000店舗と、000店舗も減っているのだ(帝国データバンク)。百貨店が専門店に売り場面積を奪われていったように、幅広いメニューを提供するファミレスよりも、専門店が攻勢をかけているのが一因だ。
すかいらーくは、2023年に不採算の約100店舗を閉店する方針を打ち出し、6月末時点で、ガストやバーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサンなどのグループ店舗数を74店舗も減らしている。
一方、サイゼリヤの8月末の店舗数は1055店と2021年8月比で14店舗減っているが、すかいらーくと比べて緩やかなペースだ。ここにも同社の力強さが見える。
サイゼリヤの稼ぎ頭は国内ではなく中国
売り上げ増に大きく寄与しているのは、実は海外売上だ。
2023年8月期の全体の売上高成長率(27%増)に対して、アジア(46%増)が国内(19%増)を約2.4倍上回っている。アジアのうち、特に中国を中心に好業績をけん引している。営業利益では、国内は原燃料費の値上がりが厳しく赤字(14億円)、アジアが黒字(84億円)となっている。
国内は生産性改善による利益面の伸びしろが大きく、今後は、店舗の作業改善(デジタル化による省人化)やメニュー数の絞り込み、食品ロスを削減するなどローコストオペレーションに徹し、国内の収益構造を変える方針だ。
海外の成長が著しく、さらに国内の伸びしろが大きいのがサイゼリヤの注目点と言えそうだ。
文/編集・dメニューマネー編集部
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