年末調整で親を扶養に入れるとき、手続きを間違えると、親が給付金をもらえず損をしたり、年末調整のやり直しが必要になったりするおそれがあります。親の生活費を払っているなら年末調整で扶養に入れることもできますが、次の注意点に気をつけましょう。
1 親を扶養に入れられるのは兄弟姉妹の1人だけ
兄弟姉妹がみんなで親の生活費を出していても、年末調整で親を扶養に入れられるのは1人だけです。同居なら分かりやすいですが、別居の親にそれぞれ仕送りしているケースなどは要注意です。
たとえば、兄も弟も遠方に住む親に生活費を仕送りしており、どちらも年末調整で親を扶養に入れたとすると、年末調整をやり直さなければなりません。
年末調整のやり直しとなると会社にも大きな負担がかかるので、あらかじめ兄弟で話し合い、メインで親の生活費を出しているほうが扶養に入れるようにしましょう。
2 特別給付金などをもらえなくなることがある
親を扶養に入れると、特別給付金などをもらえなくなり、親が損してしまうかもしれません。
所得が低いと「住民税非課税世帯」となり、特別給付金をもらえることがあります。
たとえば2021年には、新型コロナウイルス感染症による家計の負担を減らすため、住民税非課税世帯に臨時特別給付金10万円が支給されました。しかし、扶養されていると支給要件を満たせません。
親を扶養に入れるには、親の所得が48万円以下でなければならないため、住民税非課税世帯になることが多いでしょう。所得48万円になる年金の目安は、収入が年金だけとすると、65歳未満なら年108万円以下、65歳以上なら年158万円以下です。
扶養に入れるかどうかは、親とよく話し合った上で決めましょう。
3 同居している70歳以上の親が施設に入ると控除が減る
70歳以上の同居の親が老人ホームなどの施設に入ると、税法上は別居とみなされ控除が減ります。書き方を間違えると、年末調整のやり直しが必要になることがあるため、気をつけましょう。
親を扶養に入れた場合の控除額は、70歳未満なら38万円、70歳以上で別居なら48万円、70歳以上で同居なら58万円です。
70歳以上の同居では、支える家族の負担をふまえて控除が大きくなっています。しかし施設に入ると別居扱いとなり、控除は48万円に減ります。
親が施設に入ったときは、年末調整の「扶養控除等申告書」を出すとき「同居老親等」にチェックしないよう気をつけましょう。
なお、入院の場合は1年以上の長期入院でも同居となります。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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