【試算】ファンヒーター「運転コスト」が6倍以上違う?電気、石油、ガスのうち一番安いのはどれ?

2023/12/08 05:00

ファンヒーターには電気、石油、ガスの3タイプがあるが、燃料によって運転コストが6倍近くも違う可能性がある。最も運転コストの安いファンヒーターはどのタイプだろうか。 「電気」タイプは電気代が運転方法で倍近く変わる 「電気」タイプのファンヒーターの仕組みは、セラミックでできた発熱体を電気で加熱し、それによって発生した熱をフ

ファンヒーターには電気、石油、ガスの3タイプがあるが、燃料によって運転コストが6倍近くも違う可能性がある。最も運転コストの安いファンヒーターはどのタイプだろうか。

「電気」タイプは電気代が運転方法で倍近く変わる

「電気」タイプのファンヒーターの仕組みは、セラミックでできた発熱体を電気で加熱し、それによって発生した熱をファンで送風するというもので、仕組み自体はシンプルなので小さな商品が多い。

もし電気ファンヒーターで8畳の部屋を温めるなら、1ヵ月の電気代はどのくらいかかるのだろうか。8畳タイプの電気ファンヒーターで人気があるダイニチ工業 <5951> のセラミックヒーター(実勢価格2万円前後)で「弱」で温風運転した場合、1時間稼働すると電気代は20.77円だ。1日8時間なら166.16円(20.77円×8時間)、1ヵ月なら4984.8円(166.16円×30日)となる。

なお、電気代は電力量×使用時間×料金単価で求められるので、電力量をワットアワーからキロワットアワーへ変換した。この商品の消費電力は温風運転弱で670ワット(0.67キロワットアワー)。電気料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価である税込み31円/キロワットアワーを採用し、1時間稼働したときの電気代は20.77円は「0.67キロワットアワー×1時間×31円/キロワットアワー」で算出した。

同じ商品で「強」の場合、1200ワット(1.2キロワットアワー)。なので、電気代は1時間で37.2円、1日297.6円、1ヵ月なら8928円になる計算だ。

つまり、電気ファンヒーターの1ヵ月の電気代は運転状況によって約4985円~8928円となり、運転の強度で大きく費用が異なることが分かる。

2000円弱から1万円近くまで!燃料費の差が大きい「石油」ファンヒーター

次に「石油」ファンヒーターは灯油を燃焼して発熱し、その熱をファンで送り出す仕組みで、特徴は、比較的短時間で部屋を温められること。主な燃料は石油(灯油)だが、点火時とファンを稼働させるために電気代もかかる。

まず電気代を電気ファンヒーターと同様に計算すると、「CORONA石油ファンヒーターFH-G32YA4」(コロナ <5909> 、実勢価格1.5〜2万円)なら1時間の「弱」運転時で約0.3円、1日なら2.4円、1ヵ月で72円となる。強運転時の場合は1時間あたり0.6円、1日4.8円、1ヵ月144円だ。

次に灯油代だが18リットルの全国平均店頭価格2061円(税込み)から計算すると、1リットル当たりの価格は2061円÷18=114.5円。同機種はタンク容量5リットルなので、1回給油したときの価格は114.5円×5リットル=572.5円になる。

同機種の場合、1回の給油で16.1時間~82時間の運転ができるというので、1回給油すれば2日~10日もつ。1日8時間、1ヵ月使い続けるには3回~15回の給油が必要で、灯油代は3回給油時で572.5円×3回=1717.5円、15回給油なら572.5円×15回=8587.5円になる計算だ。

この結果、電気代と灯油代を合わせた石油ファンヒーターの1ヵ月の運転コストは、1789.5円〜8731.5円(144円+8587.5円)で、電気ファンヒーターよりも差がもっと大きくなった。

電気代はわずかだが、ガス代がかさむ「ガス」ファンヒーター

最後に「ガス」ファンヒーターだが、これはガスを燃焼させてできた熱をファンで送る仕組みで、特徴は起動してすぐに温かい風が出ること。

ガスファンヒーターもガス代の他に電気代がかかるのだが、人気商品の「Rinnai RC-N356E」(リンナイ <5947> 実勢価格2〜3万円)なら消費電力が18ワットなので、電気代は1時間0.56円、1日4.48円、1ヵ月134.4円になる。

同機種の暖房能力は4.07キロワット。ガス料金は地域によって違うが、かかるのは基本料金と、基準単位料金。東京ガスを例にとると、使用量が20立方メートルをこえ80立方メートルまでで基本料金が1056円、基準単位料金が130.46円だ

これらから計算すると、同機種を1時間使用した場合のガス代は42.48円となる。1日8時間の運転で339.84円(42.48円×8時間)、1ヵ月でおよそ1万195円(339.84円×30日)だ。これに基本料金の1056円が加わり1万1251円となる。

なお、1時間あたりの42.48円というガス代をどう計算したかというと、機種の暖房能力(キロワット)×3.6(メガジュール/時)×時間×ガス発熱量(メガジュール/立法メートル)×ガス料金だ。

東京ガスのガス発熱量は45メガジュール/立法メートルなので、式は4.07(キロワット)×3.6(メガジュール/時)×1時間÷45(メガジュール/立法メートル)×130.46円だ。

電気代を合わせたガスファンヒーターの運転コストは134.4円+1万1251円=約1万1385円となった。

ヒーター本体の価格も異なるし、使い方や環境にもよるだろうが、あくまで今回の計算によると、最もランニングコストが安いのは「石油」ファンヒーターで、最も高いのが「ガス」ファンヒーターで、最大で6倍以上も違う。コストが気になるなら参考にしてみてはいかがだろうか。

文/編集・dメニューマネー編集部

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