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東芝、ベネッセ、大正製薬……なぜ有名企業が続々と上場廃止しているのか

2023/12/19 05:00

東芝 <6502> 、ベネッセホールディングス <9783> 、大正製薬ホールディングス <4581> と名門企業の上場廃止の発表が相次いだ。上場廃止により株価の大幅な上昇が伴うことも多く、投資をする上では関心の高いテーマだ。上場廃止を発表しそうな企業を前もって知ることで利益を増やす

東芝 <6502> 、ベネッセホールディングス <9783> 、大正製薬ホールディングス <4581> と名門企業の上場廃止の発表が相次いだ。上場廃止により株価の大幅な上昇が伴うことも多く、投資をする上では関心の高いテーマだ。上場廃止を発表しそうな企業を前もって知ることで利益を増やすことができるかもしれない。

上場廃止する名門3企業の共通点

冒頭に挙げた3社に共通しているのは、株式公開買い付けTOB)をともなっていることだ。TOBM&A(合併&買収)の手法の1つで、企業の株式をまとめて買い付けたい企業がTOBを宣言し、買付期間と価格を示して株を市場外で買い付けることだ。

なお、現・経営陣が会社を買い取る場合は、マネジメント・バイアウト(MBO)という。成立して、上場廃止をするには発行済み株数の3分の2以上が必要だ。

上場廃止によるメリットは、経営陣が株主に遠慮することなく再編策を執行できることだ。意思決定のスピードが速くなり、事業の立て直しがやりやすくなるというわけだ。

東芝──2010年代に債務超過、既にTOBも成立

東芝は既に2023年9月で投資ファンドによるTOBが成立している。11月22日の臨時株主総会で、12月20日に上場を廃止することが決まった。

2010年代の不正会計と米原子力事業の損失で債務超過に陥った。海外投資ファンドからの資金調達、事業のスピンオフなどで体力が削られていった。リストラを実行したくても、株主が多いため施行するのが難しかった。上場廃止で、会社は主力4事業の再統合を検討するなど、新生東芝の効率化と成長戦略へ集中する。

ベネッセ──スウェーデンの投資ファンドと組んで2月めどにTOB

11月10日に上場廃止案を発表した。創業家がスウェーデンの投資ファンドと組み、2024年2月をめどにTOBを行ない、成立すれば上場廃止する予定だ。

背景にあるのは、主力の「進研ゼミ」が少子化で落ちこんでいること。2023年4月の会員数は約160万人。2014年のピーク時から約4割も減っている。上場廃止で大胆な事業改革へ乗り出す。

大正製薬──2025年にTOBの予定

11月24日、オーナー家が代表を務める企業が2025年1月にTOBを行うと発表しており、成立すれば上場廃止となる見通しだ。

ここに至った背景にあるのは、薬価抑制の流れ、開発規模大型化など、製薬会社の事業環境がグローバルで厳しい実態だ。同社は成長戦略として、セルフメディケーション事業、オロナミンDやパブロンなど主力製品の自社ECサイト販売、海外事業拡大などに取り組む予定だ。

上場廃止急増は国策?投資アイデアとしても有効

MBOやTOBの流れは、今後も加速する可能性が高いと言える。

まず2023年は日本株が上昇したが、その要因は、円安、デフレ脱却と賃上げの兆し、東証による株高政策により、外国人投資家の注目が集まったことがある。

東証の株高策とは、PBR 1倍割れの企業に対し、資本収益性や成長性など積極的な対策の実施を求めるというものだ。

PBRとは、株価純資産倍率のことで、「株価が1株あたり純資産の何倍の水準か」を示している。1倍を割れているということは「株価が安く、時価総額が企業の純資産より低い」ことを意味する。要は、上場するより会社を解散して資産を株主で分けたほうがいいと言える状態とされている。

ただし、東証の求めに対して、開示する企業が少ないことから、2024年1月15日から対応策を発表した企業を公表するという。

このため、今後MBOTOBが増えると見られるのだ。どんな企業がTOBの対象になるかというと、構造的に再編を必要とする業界や企業、親子上場している企業(親会社、子会社ともに上場している)、2025年3月までの猶予の市場再編の上場猶予措置をクリアしていない企業などだ。

今後、こうした動きが強まることを踏まえて、投資先を探すとよいかもしれない。

文/編集・dメニューマネー編集部

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