ネット通販などで目をひく「送料無料」がなくなるかもしれない──。消費者庁が12月19日、大手通販事業者に「送料無料」という表記の方法を変えるように求めた。実際に「送料無料」はなくなるのだろうか。いま送料無料のサイトでも、かかるようになってしまうのだろうか?
2024年にはトラック運転手が足りなくなる……
ネットショッピングする人の多くが、どのサイトで買うかを決める際に、「送料がかからないこと」を重視しているのは間違いないだろう。ここでいう送料無料とは、「送料を自分が負担しなくていい」ということだ。だが実際には、荷物の配送には物流・宅配業者の人件費などがかかっている。買い物をする消費者が負担しないだけだ。
にもかかわらず、「送料無料」と表示されていることについて、主に物流業界から「コストがかからないという誤解を生む」「過剰な発注を招く」などと問題視する声が上がっていた。
こうした中で、消費者庁や業界団体が頭を悩ませているのが、トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」だ。
これは、2024年4月から、トラック運転手の時間外労働に年間で960時間の上限が設けられるため、運転手が足りなくなるとされる問題だ。過重労働にならないようにという配慮からと見られるが、その分、運転手が足りなくなると考えられる。
コロナ禍を経た今、以前と比べて荷物の取扱量は増えている上、トラックなどの燃料費も高騰している。このまま対策しないと、輸送力が2024年度に14%、2030年度には34%足りなくなるとの指摘もある。
こうした中、そこで政府は通販サイトなどの「送料無料」表示についての妥当性について検討を続けていた。
具体的にはどうなる?
検討の結果、「送料無料」などの表示自体を規制する方針は打ち出さなかったものの、運送コストが生じていることの説明を付けるなどの自主的な対応を販売事業者などに求めた。
具体的には、「送料無料」と表示する場合は、送料を誰が負担しているのか、どういう仕組みで消費者が負担しなくて済むのかを説明するよう求めている。また、「送料無料」と表示しない場合は、「送料当社負担」「○○円(送料込み)」などといった説明をするよう求めている。
いずれにせよ、商品価格以外の費用を送料として追加負担を求めない場合は、販売する事業者に説明責任があるとの考えを示したということだ。
消費者庁は消費者にも理解を呼びかけ
こうした変更によって、消費者が「負担はしないものの宅配にはコストがかかっている」ことは意識するようになるだろう。すると結果的に、無駄な再配達も減るかもしれない(宅配便の再配達率は十数パーセントにのぼるという)。
消費者庁もサイトで、次の3つの項目を挙げて、理解を求めている。
1 その商品、明日どうしても必要なものでしょうか。
2 配達日時に、確実に荷物を受け取りましょう。
3 持続可能な物流の実現のため、物流業者、宅配業者の方々の私たちの生活の中での重要性を理解しましょう。
今回の表記変更が、2024年問題の解決・緩和につながるのだろうか。また、各通販サイトがどのような変更をするのか。さらには、消費者の行動、サイト選びにどのような影響を与えるのかが注視される。
文/編集・dメニューマネー編集部
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