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「初心者です。新NISAはどう投資したらいいですか?」──マネックスのチーフ・ストラテジストがズバリ教えます【インタビュー・後編】

2024/01/02 00:00

2024年、何にどう投資するかを考える時、外せないのが新NISAのスタートだ。既にNISA口座を作ってこれまで投資してきた人もいれば、今年NISAデビューをする人も少なくないだろう。マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏に2024年の投資戦略について聞いたインタビューの後編は、「新NISAをどう使えばいいのか」に

2024年、何にどう投資するかを考える時、外せないのが新NISAのスタートだ。既にNISA口座を作ってこれまで投資してきた人もいれば、今年NISAデビューをする人も少なくないだろう。マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏に2024年の投資戦略について聞いたインタビューの後編は、「新NISAをどう使えばいいのか」について。「これまでのNISAと何をどう変えればいいのか」「投資が怖くてなんとなく始められなかった」という人が、この歴史的なタイミングでどのように投資を始めればいいのか──。ズバリ答えてもらった。(インタビュー/構成・濱田 優=dメニューマネー編集長)

※ 取材はマネックス証券が運営する投資情報とお金に役立つメディア「マネクリ」と合同で12月上旬に行われました。

広木隆氏
広木隆氏(撮影=dメニューマネー編集部)

プロフィール

広木隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒。神戸大学大学院・経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。社会構想大学院大学教授。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。2010年より現職。テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、BSテレビ東京「日経プラス9」等のレギュラーコメンテーターを務めるなどメディアへの出演も多数。

インタビュー・前編 「2024年、日本株・日経平均は過去最高値を更新する」

新NISAでは何を買えばいい?

──2024年の注目はなんといっても新NISAです。既にNISAで投資をしてきた人も、2023年までの制度でいう一般とつみたて両方できるようになりますし、NISAをまだやっていない人も読者の中には少なくありません。そうした初心者の投資家に向けて、新NISAに臨む上でのアドバイス、戦略を教えてください。

まずやることです。すぐにやること。投資をすることです。ご自身が投資に回して大丈夫と判断できる財産のすべてを投資に充てること。以上です。

──ただ投資未経験者に「なぜ投資をしないのか」を聞くと、「よく分からない」「怖い」という理由のほかに、「お金がない」という人もいます。給料をもらっていても、毎月、消費して終わってしまう人もいるようです。

それはまず消費を減らし、節約することですね。余裕を生んで、早く投資に回すことです。

──初心者の中には、NISA口座に限らず、証券会社に口座をつくったことで満足して放置してしまっている人もいます。つみたてNISAなら放置していても積み上がっていきますが……。NISA制度を活用して投資するぞと決めたとして、何を買えばいいのでしょうか?

NISAで大事なのは、その年その年の非課税の枠を全部使い切ることです。その上で何がいいのかというと、日本とアメリカのインデックスファンドです。

日本なら日経平均に連動するETFでいいでしょう。アメリカならS&P500に連動するETFインデックスファンドです。どの商品でも構いませんが、手数料が低い商品を買えばいい。

要は日本とアメリカの株を半々ずつ、何も考えず買っておくということです。

──最近だとオルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))が人気のようですが、アメリカだけでなく、世界に投資するというのはどうでしょうか。

まあ、大差ないと思います。アメリカと日本でいいです。よほど世界に興味があるなら買ってもいいでしょうが、投資のリターンはアメリカに投資しておくのとそんなに変わらないです。

──日米に投資するとして、半々でいいんでしょうか?また、定期的なリバランスも必要ではないでしょうか。たとえば「今は米国を厚めにする」といった具合に。

そうですね、細かな配分を考える必要はないし、リバランスも必要ないです。

──あえてうかがいますが、なぜリバランスをする必要がないのでしょうか?

投資知識が豊富にあるわけではないんだから、(判断する)材料がないですよね。「こうなったから、これを買い増そう」という判断をするのは難しいのではないでしょうか。それに、考えたってうまくいかない場合もある。そのため、あまり難しく考えないほうがよいでしょう。

ただ、そのうちマーケットの変動もあり、配分が変化してくると思います。つまり、最初、日米で半々で買っておいても、たとえば日本が全然上がらなくて、アメリカが上がったとすると、割合が6:4とか、下手すると7:3ぐらいの比率になったりする。

そうして次の年に、またフィフティ・フィフティー、5:5の割合で買うんです。買う比率を変えると、上がっているものばかり買ってしまうことになりかねない。だけど、新規の追加投資の時にまた同じ比率で買って、それを続ければ、上がったものは少し、下がったものは多く買うことになり、結果的にどっちにもバイアスがかからなくなる。その年1回の追加投資が、自動的なリバランスになるんです。

──たしかにそれは分かりやすく始めやすいし、いつが買い時かで迷わなくていいですね。

相場には「ハロウィン効果」という経験則があって、10月末に買うのが一番いいとも言われますが、10月まで待ったら、もうその年はほぼ終わってしまいます。ほかにも「この月は危ない」とか「この月は上がる」と言われることはありますが、そんなことを言い始めたら、“毎月危ない”んですよ。いつ買っても危ない。だとすると、いつ買うのがいいとか悪いとか迷っても、結果は分からない。

ただ、過去20年間の日経平均の月別のパフォーマンスを調べると、1月が一番悪いので、1月末から2月ごろにその年の分をまとめて買うというのもいいかもしれません。

──年初に買って放置となると、あまり日々の出来事に一喜一憂しなくていいということかと思いますが、これだけは気をつけておいたほうがいいのことはありますか?

アメリカの雇用統計です。日本のニュースもいろいろありますが、毎日追いかけるのは大変でしょうから、そんなに気にしなくてもいいと思います。

──あんまり日々のニュースに引きずられちゃダメだということでしょうか。

おたずねになりたいのは、投資初心者に向けた、新NISAの投資アドバイスですよね?それならとにかくつみたて枠も一般枠でも、日米のインックスファンドそれぞれ毎年5対5の割合で買い続けましょうというだけです。

株価というものは長期では上がっていく、成長していくもの。そう考えられるなら、あまり深く考えすぎずに、投資して持ち続けること。投資入門者は、他に何もしなくていいと思います。

インデックス投資から始めた上で、投資の幅は少しずつ広げよう

──「NISAの一般枠は投信だけでなく、せっかく株も買えるから個別株を買おう」ではなく、そちらでもインデックスファンドを買っておけばいいと。

そうです。それで始めて、成功体験をして、「株式市場ではいろいろなことが起きるけど、長期で見れば株は上がるんだ、儲かることもあるものなんだ」ということが分かってきたら、ゆくゆくはNISA枠に限らず、(それ以上の予算を)株式投資に充てて欲しいです。

そもそもNISAのつみたて投資枠では投資信託だけ、それも年間で120万円しか買えない。一般枠をあわせても1年で360万円しか買えません。

まずはNISAの枠を全部使って日米のインデックスファンドを買うところから始める。そうしてちょっとずつ株式投資の研究が進んでいく中で、(投信・インデックスファンド以外の)株にも投資してみて欲しい。そこではNISAの一般枠で、個別銘柄を買う形でいいでしょう。

投資を経験する中では、いろいろなことがあります。たとえば株価が下がっている時、株が下がると大体利回りが高くなる。だから今もすごく配当利回り高い銘柄がたくさんありますね。そこで高配当株を買ってみるのもいいでしょう。

ただ個別となると目利きも必要なので、分散投資のために高配当株に連動するETFを買うという形でいい。もしくは、インデックスファンドを買うにしても、「今年は高配当株に連動するインデックスを買ってみよう」と広げてみるのもいいかもしれません。

──経験が浅い投資家は、新NISAについては一般・つみたて枠問わず、投資できるお金を日米のインデックスファンド半々に投じるところからまず始めればいい、ということですね。

その通りです。まず始めることが大事なんです。

構成・濱田 優(dメニューマネー編集長)
編集・dメニューマネー編集部

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