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ビール会社の株価、サッポロビールだけ「大幅上昇」の理由とは?

2024/01/16 05:00

ビール大手、サッポロの株価が直近1年で2倍以上も上がっている。ビール大手各社の業績も経済の再開や猛暑、減税などを受けて好調だが、中でもサッポロの株価上昇は際立っている。その理由に迫ろう。 ビール大手3社のなかでサッポロの株価が一人勝ち ビール大手3社(サントリーのビール部門は未上場)の株価を比べると、サッポロの株高が目

ビール大手、サッポロの株価が直近1年で2倍以上も上がっている。ビール大手各社の業績も経済の再開や猛暑、減税などを受けて好調だが、中でもサッポロの株価上昇は際立っている。その理由に迫ろう。

ビール大手3社のなかでサッポロの株価が一人勝ち

ビール大手3社(サントリーのビール部門は未上場)の株価を比べると、サッポロの株高が目立つ。2022年末から23年末に比べて、アサヒやキリンは数%上がっているだけだが、サッポロは90%上昇。昨年末から今年年初にかけても、他社より数ポイント上昇率が上回っている。

企業名・銘柄コード……2023年/2024年 サッポロホールディングス <2501> ……90%高/12%高
アサヒグループホールディングス <2502> ……28%高/9%高
キリンホールディングス <2503> ……3%/年4%高
(※2023年:22年末と23年末比、2024年:23年末と2024年1月12日比)

サッポロの株高の理由は「投資ファンド」の存在にある

サッポロ株の上昇の背景には、投資ファンドの存在がある。

2024年1月5日に発行済み株数の16.19%を保有する筆頭株主(2023年12月25日時点)になったシンガポールの投資ファンド「3Dインベストメント・パートナーズ」(3D)は、「物言う株主」とも言われ、割安と思われる企業の株式を買い集め、大株主として企業に改革を迫り、企業価値の向上による株高で利益を狙うファンドである。

3Dが株主としての存在感が強まり、サッポロの企業改革が進み、企業価値が向上する期待感から株が買われていると考えられる。

投資ファンドの狙いは恵比寿ガーデンプレイス?

3Dの狙いは恵比寿ガーデンプレイスなど、サッポロが持つ不動産の含み益の活用にある。

3Dのサッポロへの本格的な投資は2023年初から始まっており、2023年4月時点で、サッポロに対する経営改革を求める要求資料「サッポロホールディングス株式会社が抱える課題について」を提出している。

この資料で3Dは、「(酒類事業・食品飲料事業の)低収益性は長年放置され、悪化し続けてきましたが、その歪な状況は、不動産賃貸収入による経営の甘えに起因する」と指摘、本業のビール事業の価値を高める努力をしてこなかったことを問題視している。

サッポロが持つ“不動産収入”とはどれほどのものなのだろうか。

サッポロの不動産事業の売り上げは全体の4%だが、事業利益の70%を占める

サッポロが保有する不動産の時価評価は2022年末で3857億円。土地の値上がりによる含み益は、2761億円にも及ぶ。サッポロはもともと恵比寿にビール工場を保有しており、その跡地が恵比寿ガーデンプレイスとして開発された。その他、銀座、札幌などに不動産を持っている。

同社の不動産事業の売り上げは全体の4%に過ぎないが、事業利益では70%を占めている。酒類事業の売上高が3346億円、事業利益が77億円に対して、不動産事業の収益は22年12月期の売上高で207億円、事業利益(本業の利益)は65億円になるのだ。

3Dは不動産事業を売却するなど分社化して、含み益を一旦取り込むことを求めているというわけだ。今後もサッポロに対する3Dの動向と株価の動きが注視される。

文/編集・dメニューマネー編集部

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