株主優待

【株主優待】株式分割後でも100株で優待がもらえる「実質拡充」銘柄はどれ?

2024/01/19 05:00

株式の数が増える株式分割が行われると、これまで100株でもらえていた優待が、新たに(分割後の)100株を買ってももらえなくなってもおかしくありません。たとえば1:2で分割されると100株が200株になりますが、100株の取得単価も下がるので、企業にしてみれば、同じ100株でも投資額が減っているため、同じ優待をしていたら

株式の数が増える株式分割が行われると、これまで100株でもらえていた優待が、新たに(分割後の)100株を買ってももらえなくなってもおかしくありません。たとえば1:2で分割されると100株が200株になりますが、100株の取得単価も下がるので、企業にしてみれば、同じ100株でも投資額が減っているため、同じ優待をしていたら損になるからです。

しかし、新NISAのスタートで個人投資家をとりこみたい多くの企業が多いようで、「株式分割をした後でも、分割前と変わらない優待を出す」ことにしている企業があります。株主優待が“実質拡充”している銘柄と言えます。

なぜ“実質拡充”といえるのか

株式分割をすると、投資家が持っている株数が増え、1:2の分割をした企業の株は100株から200株になりますが、理論上の資産価値は同じです。

たとえば株価が1万円の企業の株を100株持っていて、2分割されると200株持つことになりますが、株価が理論上、半分の5000円になるので、分割前も後も価値は100万円だからです。

ただこの場合、分割前に100株を買うのに必要だった額が1万円だったのに、分割後は5000円になります。もしもこの企業が分割前に1年で1000円の優待券を投資家に贈っていた場合、分割後に同じ額・1000円の優待を出し続けることになると、企業の負担が増えてしまいます。

そう考えると、分割をしても同じ価値の優待を出し続けるのは“拡充”ということになるわけです。

こうした施策をする企業の意図として考えられるのは、新NISAで個人投資家が増えると予想される中で、これまで以上に多くの投資家に支持して欲しいということでしょう。

CoCo壱も?株主優待が実質拡充される銘柄

最近では、カレー専門店として有名な壱番屋 <7630> が3月1日に1:5の株式分割をしますが、分割後も、同じだけの優待を出すと発表しています。具体的には、現在の優待内容は、2月と8月に100株以上持っていれば、CoCo壱番屋のお店で使える1000円分の金券がもらえるというものですが、分割後も同じく、100株で株主優待として1000円分、年間2000円分の金券を出すそうです。

もしまだ株を持っていない人が、分割前に20株買うと、3月1日の分割で株数は100株になり、8月以降、株主優待がもらえるようになるわけです。

また、ダスキン加盟大手のナック <9788> は2月1日に1:2の株式分割を予定していますが、分割後も分割前と同じ優待を出すといいます。優待内容は、100株以上で4750円の自社製品がもらえるというもので、分割前に50株持っておけば、株主優待がもらえるようになります。

この2社と同じように、株式分割の前に単元未満株(100株に満たない数)を持っている人が、分割後に株主優待権利を受けられるようにする企業はほかにもあり、たとえば日清食品ホールディングス <2897> 、森永製菓 <2201>、森永乳業 <2264> などです。

個人投資家にとって魅力が多い株式分割だが注意点もある

株式分割のメリットは、個人投資家が小資金でも株を買いやすくなり、かつ、これまで単元未満株で株主優待がもらえなかった人ももらえるようになることです。

ただ注意点もあり、それは分割を発表すると株価が上がることがあり、分割発表前の水準では買えなくなることです。

1月9日に株式分割を発表した壱番屋のケースでは、発表した1月9日の株価(終値)は5230円でしたが、1月18日時点では終値が6110円になっています。

分割の発表後は高値づかみをしてしまうこともあるため、買うタイミングには注意しましょう。

文・谷口久美子(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部

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