引っ越しシーズンを前に、賃貸物件を退去する際にかかる費用についてどの程度、理解されているか調べたところ、入居者が負担しなくて良い(貸主負担とされる)各項目について、正解率(「貸主負担」と回答した割合)が最も低かったのは「ポスター等を貼ったことによる画びょうやピンの穴」(正解率33.4%)であることが分かった。
このほかにも、「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」(正解率39.6%)、「冷蔵庫設置による壁焼け」(正解率43.9%)、「エアコンを設置したことでできた穴や跡」(46.1%)、「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」(46.9%)などは、正解率が半数を割り込んだ。つまりいすれも入居者が負担する必要はないが、半分以上の人が「入居者が負担しなければいけない」と思っているという。
「入居者が負担しなくて良い費用」間違えがち項目ランキング
調査はLIFULL <2120> が5年以内に賃貸物件から引越しをした1,075人(不動産業除く)を対象に行った。冒頭で紹介した入居者が負担しなくて良い(貸主負担とされる)各項目についての正解率をランキング形式で発表しており、結果は次のとおりだ。
【入居者が負担しなくて良い費用】間違えがち項目TOP10
順位(正解率) 内容
1位(33.4%) ポスター等を貼ったことによる画びょうやピンの穴
2位(39.6%) 家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡
3位(43.9%) 冷蔵庫設置による壁焼け
4位(46.1%) エアコンを設置したことでできた穴や跡
5位(46.9%) 水漏れが発生したエアコンの修理・交換代
6位(53.8%) 破損や紛失ではない鍵の交換
7位(54.0%) フローリングのワックス剥がれ
8位(57.3%) 壁や床の自然変色
9位(58.3%) 地震や台風など自然災害による壁やガラスなどの破損
10位(64.9%) 畳・網戸・浴槽などの交換(次の入居者確保のために行うもの)
LIFULLはこの結果を受け、「ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のもの」「壁の下地にまで達しない画びょうの穴は通常の損耗」とした上で、「釘やビスなどを壁に打ち込んだ場合の補修費用は、入居者負担になる」と解説している。このほかにも貸主負担になるものとして、「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」や「冷蔵庫設置による壁焼け」を”通常の損耗範囲”として挙げている。
また、入居者が買って取り付けたエアコンについては、「設置に伴って生じた壁のビス穴や設置跡については、生活必需品の使用に伴ってできた通常の損耗」と考えられるため、修繕する場合は貸主負担だという。
ただし注意点として、「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」は貸主負担としながら、「それにより床や壁が腐敗した場合の修繕費は入居者が負担する義務がある」と指摘している。
調査ではまた、賃貸物件の退去費用について納得はいったかどうかも聞いており、過半数の51.6%が「納得がいかなかった」と回答したという。ただし、そのうち10.9%は「納得がいかず交渉をして減額となった」と回答していることから、「提示額はそのまま飲み込まなければならないものという訳ではない」と分析している。
「原状回復」するにはどこまでしなければいけないのか?
退去する際、物件を借りている入居者には、「原状回復」義務が生じるが、これについての誤解も広いようだ。「原状回復」という言葉の意味について、最も考えに近いものを選んでもらったところ、最も多かった回答が「借りた当初の状態に戻すこと」(48.2%)で、正しい理解をしている人は42.7%と半数にも届かなかったという。
原状回復についてはガイドラインに、「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と記載されており、入居者が負担すべきなのは、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなど、入居者の使い方に問題があったことでできた汚れや傷についての修繕費用だ。
この点、逆に「入居者が負担しなければいけないのに、そう思われていないこと」についても結果を発表。最も誤解が多かった(正解率が低かった)のは、「専用庭の雑草処理」で、正解率は27.8%にとどまった。
これに続き、正解率が半分以下だったのは、「雨の吹き込みによる床の色落ち」(正解率38.0%)、「(物件構造に起因しない)結露によるカビ・シミ」(正解率41.0%)、「エアコンの水漏れによる床の傷み」(正解率41.4%)、「水回りの水垢やカビ」(48.2%)だったという。
LIFULL HOME'S PRESS編集部の渋谷雄大氏は、「トラブルの多くは、退去時の費用に納得できないことで起こることから、つい退去時の問題と思いがちですが、実は入居時から始まっている問題」としたうえで、「原状回復に関する不明点をしっかり質問し、双方が納得したうえで契約を結ぶようにしたり、入居時の対応次第で防げるトラブルは多く」あると指摘。「『原状回復は通常使用を超える部分』と『原状回復トラブル防止は入居時から』を合言葉に、入居から退去まで幸せな賃貸住宅ライフを送っていただきたい」とコメントしている。
文/編集・dメニューマネー編集部
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