インフレ、値上げという言葉をニュースでよく見聞きするようになったことからも分かるとおり、物価高が家計に大きな影響を与えています。2023年にコープ・日本生活協同組合連合会が行った調査では、95%の人が物価高の家計への影響を感じていると答えています。同じく2023年に行われた別の調査で、節約する理由についてたずねたところ、最も多かった回答は「生活費が増えたため」だったそうです(スマートフォンユーザー向けアプリ情報メディア「Appliv(アプリヴ)」調査)。
それだけ家計の見直し・節約をする重要性が高まっているといえるわけでが、「なかなか続かない」と頭を悩ませている人も多いはず。いざ節約しようと張り切って始めても、なかなか続かないし、その反動で使い過ぎてしまうことすらあり、そうなったら元も子もありません。
しかし、節約の重要性はこれからますます高まるはずです。将来のお金に対する心配は、大きくなることはあっても、(何もしないままで)小さくなることはありません。「どうせ続かない」と決めつけずに、自分にあった、続けられる仕組みを見つけることが大事です。簡単に始められる項目や、まず見直すべき家計の項目をおさらいした上で、無理し過ぎず、長く続けられる方法を見つけましょう。
1 毎月「必ず使う費用」から見直す
家計の支出のうち、毎月必ず使う「固定費」の見直しから始めましょう。固定費は支出のうち、大きな割合を占めることが多いからで、代表的なものとして、家賃や光熱費、通信費、保険料などがあります。このほかにも、映像配信などのサブスクサービスもあります。
こう考えると、「固定費」といってもいろいろあります。固定費を見直す方法をさらに細かく分解して確かめましょう。
①現在の支出額を把握する
固定費を節約するには、まず、現在の支出額を把握することが大切です。毎月の明細を整理したり、ごく簡単でいいので家計簿をつけたりして、固定費の項目や金額を把握しましょう。
家計簿と聞くと「ああ、面倒だから無理」と拒否感を覚える人もいるようですが、「毎日、何を買っているか」を細かくつける必要はありません。まずは「毎月、何に、いくら使っているか」を把握するだけで構いません。また、額も最初の段階ではざっくりでOK。明細を見て細かく入れたほうがよいですが、それだと面倒でなかなか手をつけられないからです。
まず作りたいのは、このような形のリストです。
・家賃 18万円
・水道代 7000円
・電気代 1万円
・ガス代 8000円
・スマホ通信費(3人分) 1万円
・インターネット 8000円
・生命保険 6000円
・映像配信 1000円
ざっくりと各項目の費用感が分かったら、次は明細などを探し出してきて、細かい額を確かめるとよいでしょう。また、あわせて「変動費」についても、何にだいたいいくら使っているかをイメージしましょう。
②見直し可能な項目を探す
毎月、おおよそ何にいくら払っているかを把握したら、次に見直しできそうな項目を探しましょう。
それぞれの項目について、高いのか安いのかは、平均的な額を調べると良いでしょう。
たとえば水道代は、3人暮らしでは5000円程度と言われているので、上に挙げたケースでは少し高めであることが分かります。
このほかの確認方法として、収入額とバランスが取れているか確かめるというものもあります。
家賃については、一般に「収入の3割以内に収めるのがのぞましい」といわれます。今回のケースでは、家賃が18万円なので、この基準に照らし合わせると、給料が60万円以上必要ということになります。ただし、会社から家賃補助があるケースもあるので、その場合は補助を除いた負担額で考えてもよいでしょう。
水道代は使い方を工夫するなどしないと節約できませんが、その他、電気やガスなどの費用については、プランを見直したり、業者を変えたりすることで、基本料金が安くなるなどして、毎月の支払いを抑えられるかもしれません。
通信費は、スマホのプランを見直すのが一般的です。自宅に高速インターネット回線が開通しているなら、Wi-Fiを導入すれば、スマホでの通信量を抑えられます。前出のアプリヴの調査でも、「通信費」は節約に効果があった項目のトップ3に入っていたそうです(その他は「食費を減らす」「家計簿」というもの)。
また、保険料は、保険の内容を見直したり、保険会社を変更したりすることで、節約できる可能性があります。映像配信サービスについては、どうしても観たい作品があるときだけ契約し、ずっと加入しっぱなしにしないという方法で節約できます。
このように固定費を節約するには、時間と手間がかかりますが、一度見直すことで、その効果がずっと続きます。
③見直すなら「無理して」「一気に」はダメ
固定費の見直しをする際には、次のポイントを押さえておきましょう。
一気に見直そうとせず、少しずつ見直していくことが大切です。上で挙げた項目をすべて1度でやろうと思うと大変です。今月はこれとこれ、といった形で、額の大きいものから始めて、ある程度余裕を持った期間のうちにすべて見直せばいいくらいの気持ちで取り掛かりましょう。
また、見直しによって、生活に支障が出ないように注意しましょう。たとえば家賃は、安いところに住み替えると生活が大きく変わる可能性があります。不便になって家族が大きなストレスを感じるような事態は避けたいところです。また保険については、「これまで元気だったから、病気にはかからないだろう」と決めて解約してしまうのは考えものです。必要な保障に絞る、逆にいえば必要なさそうな保障だけ外すなど、慎重に決めましょう。
その上で、ひととおり見直しができたら、数ヵ月後で構わないので、効果が出ているか確かめましょう。たとえば「安いプランに切り替えたからもう大丈夫」と決めつけて、明細はまたほったらし、ということがないようにしましょう。
2 外食・飲み物を買う回数を減らす
固定費を見直したら、今度は「変動費」も見直したいところです。固定費の中で大きな割合を占めるのが「食費」です。できれば毎月の食費のおおよその額を把握したいところですが、いきなり確認をするのが面倒ということであれば、削れそうな項目を考えてみてはどうでしょうか。
食費の中でも、特に外食や外出時に買う飲み物は、1回あたりの費用は大したことがないように思えても、通算すると意外と高い出費になっているものです。
総務省の家計調査を見ると、3人家族の1ヵ月の食費の平均はおよそ8万円で、そのうち外食が1.1万円といいます。誕生日など特別なイベントのときはともかく、「なんとなく」で外食していないか振り返り、減らせそうなら回数を減らすことで、食費は確実に節約できます。
また、外食するときは、お店の割引サービスやクーポンを使うととよいでしょう。仕事で疲れたり、体調が悪かったりして食事が作れない場合は、テークアウトやデリバリーを使えば、外食よりも安く済ませられるかもしれません。
このほかにも、作り置きや冷凍食品を活用するなどして、無理なく自炊が続けられるような工夫を考えてみましょう。
「飲み物を買う回数を減らす」という点もこの際考えておきたいところです。飲み物を買う回数を減らすことで、食費や交際費を節約できます。ちょっと喉が渇いたからといって自販機を使ったり、カフェに入ったりしていないでしょうか。飲み物は、外で買うのではなく、マイボトルなどを持ち歩くようにするとよいでしょう。
なおカフェやコンビニでの飲み物代など、「少額だけど、頻繁に何となく使ってしまうお金」のことを”ラテマネー”といいます。お菓子代なども含めた言葉ですが、”ラテ”とついているように、コーヒー代、お茶代は意外と使ってしまうものだという認識を持ちましょう。
3 持ち歩くカードを絞る・財布に入れるお金を少なめにする
食費の見直しの次にやるといいのは、クレジットカードやキャッシュカードなど、持ち歩くカードを減らし、できれば現金も減らすとよいでしょう。
なぜなら、カードや現金があるとついつい引き出したり、買い物したりしてしまうからです。
まずカードについては、必要なものだけを厳選しましょう。これは日常的に持ち歩くものを選ぶという意味と、「そもそも使っていない銀行口座やクレジットカードなどは見直す」という意味があります。
最近はキャッシュレス決済が浸透してきており、支払いの多くをクレジットカードで済ませている人もいるでしょうが、使わないカードは解約したほうがいいかもしれません。
なぜなら、紛失や盗難、不正利用されるリスクがありますし、キャッシング枠があれば、将来、ローンを組む時の審査に影響するかもしれないからです。
使うクレジットカードを絞り、また支払いを集めることで、家計の管理もしやすくなります。たとえば、支払いをすべて1枚のクレジットカードに集約すれば、クレカの明細がそのまま家計簿になります。またポイントも貯めやすくなるはずです。
もう一つ実践したいことである「財布にお金を入れ過ぎない」も、カードと同じで、財布に入れるお金が多いと、ついつい使い過ぎてしまうからです。
この時のポイントとしては、財布に入れる額を決めておくことです。「1日分の生活費」や「外食や買い物に必要な金額」だけにするわけです。
また、財布に入れるお金は、1000円札よりも1万円札にしたほうがよいかもしれません。というのも、1000円札より1万円札のほうが”使いづらい”と感じるものだからです。ちょっとしたものを買おうか迷った時、「わざわざ1万円を崩すのか?」と自問するとよいでしょう(だからといって「クレカで払えばいい」と考えてはいけません)。
4 買い物に行く回数を減らす・「買い物リスト」を作ってから行く
財布に入れるカードやお金の額をある程度決めたら、今度は買い物に行く回数を見直すことです。これも、スーパーやコンビニに立ち寄ってしまうと、ついつい要らない(なくてもいい)物を買ってしまうからです。
まとめて買い物をすることを意識すれば、買い物に行く回数は減らせます。
そして、買い物に行く時は、事前に「買い物リスト」を作り、必要なものだけを買うようにしましょう。よくしがちなのが「安いから」「特売だから」という理由で、なくてもいい物を買ってしまうことです。
たしかに、安く売られているものを買えば節約になりますが、あくまで「必要なものが安く売られている場合」にとどめたほうがよいでしょう。特に生鮮品などは買い過ぎて腐らせてしまうかもしれませんし、たとえ腐らないものでも「安いから」と飛びついて買ったものの、「結局、要らなかった」「買わなきゃよかった」と後悔するかもしれません。
以上を踏まえて、自分の家に必要な物を買うペースをつかみましょう。毎日買い物を行っているなら、2〜3日に一度などに減らしましょう。中には週1回、まとめての買い物で済ませている家庭もありますが、食品などはうまくやりくりしないと腐らせてしまうので、買い物の回数を極端に減らすのではなく、ちょっと減らすことから始めましょう。
また、まとめて買い物をすることで、割引やポイントを活用しやすくなります。
5 家計簿をつける
固定費や、変動費の中で大きな割合を占める食費、さらに財布に入れるカードや額、日常の買い物のペースなどを把握したら、家計簿をつけてみましょう。その目的は言うまでもありませんが、収入と支出の状況を把握することです。
家計簿をつけると、無駄な出費に気づいたり、節約につながるヒントを見つけたりすることができます。
ただ、「家計簿」と聞いただけで「自分には続かない」と思ってしまい、つけ始めるのをためらう人もいるでしょう。
しかし、大きな額を貯めることができた人はたいてい、「家計簿は必要」と口を揃えて言います。既に紹介した調査でも、節約に効果的だったことのトップ3に「家計簿をつける」が入っています。
ここで重要なのは、「自分なりに続けられる方法を見つける」ことです。最近では、スマホで簡単につけられる家計簿もありますし、上で述べたように「支払いを一つのクレカに集約して、明細を家計簿がわりにする」という方法もあります。
また1円単位で厳密につける必要はなく、”ざっくり”で構いません。月末や月初に、無駄遣いをしていないか、何にどれくらい使っているかを振り返り、これからの節約につなげることが目的だからです。
何より家計簿は、継続することが大切です。1ヵ月や2ヵ月だけつけてみて、効果がなければやめてしまうのではなく、長い目で見て節約に取り組みましょう。
6 銀行手数料をおさえる
最後に確かめておきたいのは、銀行手数料の節約です。というのも、最近は銀行の窓口やATMを使うと何かと手数料がかかるものだからです。
たとえばメガバンクの窓口で、3万円振り込もうとすると、同じ銀行でも660円、別の銀行なら880円かかることがあります。ATMでお金を引き出そうとすると、週末なら日中でも110円取られますし、平日でも午前8時より前だと220円かかります。
しかし最近では、ATMの利用手数料や振込手数料が無料になる銀行もあります。これから銀行を選ぶなら、「手数料」の観点で検討したいところです。
中には「振り込みをする機会はそんなにない」という人もいるでしょう。そうした人も含めて検討したいのが、インターネットバンキングやモバイルバンキングです。
特にスマホで使いやすいサービスを提供している銀行を選ぶことで、たとえ振り込みをしなくても、口座の残高確認を手軽にできるようになりますし、それはひいては節約にもつながります。
最近では、利用することでポイントがもらえるモバイルバンキングサービスもあります。給料や年金の受け取り口座に指定しておけば、手数料が取られるどころか、毎月ポイントがもらえる銀行もあるのです。
口座は一度作ると、つい何も考えずに使い続けがちです。「別に今の銀行でも不便はない」という人もいるでしょう。しかし、それはもっとお得な銀行を見逃しているかもしれません。
銀行口座は、節約をした結果としてお金を貯めておく場所です。残高確認を含めてアクセスがしやすく、手数料がかからないサービスを選んでみてはいかがでしょうか。
大切なのは「続ける」こと それには“無理ない”仕組みを作ろう
節約を無理をすると長続きしません。とにかく、自分に合った無理のない節約方法を見つけることが大切です。
細かく家計簿をつけられる人もいれば、面倒で続かない人もいるでしょう。外食を減らすことが苦痛の人いれば、楽に減らせる人もいます。家賃を下げられない事情がある家庭もあれば、見直せる固定費が多い世帯もあります。
お金をどう使いたいか、どう使えるかは人それぞれ、家庭それぞれ異なるので、「こうしなければいけない」ということはありません。
ただ間違いないのは、節約を始めて、続けないと、なかなかお金は貯まらないということです。
長く続ける仕組みを作る上で、節約できたお金を旅行や趣味に使うなど、”ごほうび”を設定するといいという人もいますが、これは考え方次第です。「時には息抜きをしないと続かない」から”ごほうび”に賛成の人もいれば、「せっかく貯めたお金をごほうびとして使うなんて」と反対の人もいるはずです。”ごほうび”を自分にあげる金額や頻度の設定によっては、結果としてお金も貯まりません。”ごほうび”を設けるかどうかを含めて、自分にあった、長く続けられる仕組み・方法を見つけましょう。
なお、今回紹介した節約方法は、どれも簡単に始められるはずです。自分に合った方法をいくつか組み合わせて、無理なく節約を続けていきましょう。
また、節約は、一人で頑張ろうとすると、途中で挫折してしまうこともあるかもしれないので、家族や友人など、節約に協力してくれる人を見つけて、一緒に節約に取り組んでみてはいかがでしょうか。
文/編集・dメニューマネー編集部
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