2024年から始まった新しいNISA(少額投資非課税制度)にハイペースで資金が流れ込んでいる。ネット証券大手5社経由のNISA口座での個別株への投資は、1月19日までの2週間で約4600億円に達した。そんな新NISA制度で、これをやってはいけないという“NG行動”はどんなものだろうか。
成長投資枠で買われている株は、有名企業で配当利回りが高い
NG行動を確かめる前に、新NISAの成長投資枠では、どんな銘柄が買われているのか確かめてみよう。世間的にも有名な企業が多く、配当利回りも高いようだ。野村證券投資情報部が作成した新NISAの成長投資枠で買われた企業のランキング10(2024年1月4日〜12日)を以下に示そう。
なお日本取引所が月次で公表しているプライム市場の配当利回りは2.17%となっている(23年12月、月中の加重平均の数値)。
順位 銘柄・銘柄コード 配当利回り
1位 NTT <9432> 2.73%
2位 三菱商事 <8058> 2.83%
3位 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 3.06%
4位 日本たばこ産業 <2914> 4.99%
5位 トヨタ自動車 <7203> 2.25%
6位 日本製鉄 <5401> 4.33%
7位 本田技研工業 <7262> 3.66%
8位 ソシオネクスト <6526> 1.4%
9位 武田薬品工業 <4502> 4.36%
10位 ソフトバンク <9434> 4.45%
(2024年1月26日終値時点、配当利回りはdメニューマネー編集部が追記)
新NISAの高配当投資で注意したい3つのNG行動
どんな銘柄が買われているか確認したところで、新NISAで高配当株に投資をする際、是非避けたい3つの行動を見ていこう。
NG1 高配当利回りランキングで上位だからという理由で投資する
配当利回りが高い企業には目が行くものだが、借入金などが多く財務基盤が弱い企業や業績が悪化している企業もあるので、そうした企業への投資は避けたいところだ。特に、景気の影響を受けやすく、過去に赤字転落で無配だったことのる企業には注意したほうがよいだろう。
配当利回り(配当金÷株価)の高さは、株価が下落していることを示している。つまり何かしらの悪材料が株価に織り込まれている可能性があり、配当利回り以上に株価の下落で損をする可能性がある。
また、銘柄を選ぶ際のアプローチとして、過去に配当を減らしたり(減配)、配当を止めたり(無配)していないかを確認する方法も有効だ。
NG2 SNSやYouTubeで注目されているからという理由で投資する
ネットで注目されている銘柄はインフルエンサーが株価を意図的に上げようとしている場合があり、株価が乱高下することもあり売り時が難しい。
SNSやYouTubeで投資先の企業を知ること自体は悪くないが、あくまで参考として、投資前に自分で入念に調査をするべきだろう。
NG3 誰もが知っている有名企業という理由で投資する
「自分を含め誰もが知っている有名な企業だから」という理由で投資をすることも注意が必要だ。有名企業や優良企業が、投資先として良いというわけではない。
投資を検討するキッカケとしては問題ないが、投資前にもう一歩踏み込んだ調査をしたい。
新NISAは、損失と利益を相殺して税金を安くすると言う損益通算ができない。株価の変動が大きく、株価の下落で大きな損失がでる可能性がある銘柄は避けるのが賢明だろう。
新NISAと上手に付き合うことで将来への備えに
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの投資枠が使える。それぞれの枠で利益が非課税になるのは、つみたて投資枠では年間最大120万円、成長投資枠では年間最大240万円までだ。生涯でトータルの投資枠は合わせて1800万円。成長投資枠だけだと1200万円となる。
つみたて投資枠は、旧NISAでのつみたてNISAと同じで、長期の分散投資が目的である。そのため、金融庁が定める基準を満たす一定の投資信託に投資対象が限定されている。
今のところ人気は、日本や米国をなどの先進国や新興国を含めた世界の株式からなる指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」(オルカン)との連動を目指す投資信託の人気が高い。
一方、成長投資枠では、個別銘柄や金融庁認可以外の投資信託などにも投資ができるため、対象商品が圧倒的に多い。この枠での日本株の個別株の投資が増えている。通常、投資の利益には20.315%の税率で税金がかかるが、NISA枠での投資は税金がかからない。新制度を活用しない手はない。
ただし、繰り返しになるが、投資前に自分で調べることを怠らないようにしたい。
文/編集・dメニューマネー編集部