住宅ローンを借り換える際、金利や返済額にばかり目が行きがちですが、他にも確認をしておくべきことがあり、見過ごすと。
信用情報だけじゃない!借り換え不可になる意外な理由
住宅ローンを借り換える際には、新規借り入れ時と同じように金融機関が審査しますが、これをクリアしても無条件に借り換えられるわけではなく、その代表的な例として、団体信用生命保険(団信)に入れないというものがあります。
借り換え時には一般に、団信も乗り換える必要がありますが、最初に住宅ローンを借りて団信に入った後に病気にかかるなどした場合、その病歴が原因で乗り換えを断られてしまうことがあるのです。
対策としては、団信の引受会社の健康告知項目を確かめておくことです。というのも、健康状態については質問項目にだけ答えればよいため、項目にない病歴は引受会社には一切伝わらないからです。
また金融機関によって告知事項は多少異なるため、いくつかの会社の健康告知項目を比べて申し込むとよいかもしれません。
それほど影響はない?変動金利上昇時の返済額増加
このところずっと金利が低いため、「これから金利が上がるかもしれない」と考えて固定金利を選ぶ人が多いですが、金利が上がることで返済額がどれだけ増えるか計算してみると、「思っていたより上がり幅は小さい」ということがあるようです。
たとえば、ローンの残りが3500万円、返済期間が残り25年として、変動金利0.3%で借り換えるケースを考えてみましょう。
もし完済まで金利が上がらなければ、総返済額は約3633万円ですが、10年後に金利が2%まで一気に上がると、総返済額は約3864万円に増えてしまいます。
これを聞くと「やはり変動金利は怖い」と考える人もいるかもしれませんが、これは、25年にわたって、全期間、固定金利0.8%で借りる場合とほぼ同じです。
もし現状で25年の全期間を固定金利に切り替えるとすると、0.8%以上になるはずです。そう考えると、「本当に今の時点で、変動から固定に替えたほうがいいのか?」という疑問がわくはずです。
「返済期間は以前のローンと同じ」が多いが……
借り換えする際、多くの人が返済期間を元の住宅ローンと同じに設定しているようですが、場合によっては返済期間を延ばしたほうがいい場合もあります。
たとえば、先ほどと同じく残債3500万円、残り25年の住宅ローンを変動金利0.3%で借り換えるケースを考えてみましょう。
現状のローンと同じ期間、25年で返済する場合、毎月の返済額は12万1110円、返済総額は約3633万円となります。
一方、返済期間を30年に伸ばすと、月の返済額は10万1674円となります。この場合、25年返済と比べると、毎月、差額の1万9436円が現金で手元に残ります。
この差額を25年間積み立てると、約583万円となります。この時点で、住宅ローンの返済期間は5年残っており、残債は約601万円になっているはずです。
つまり、25年間で積み立てられる583万円を、投資などで増やして601万円以上にできるのであれば、借り換えの際に期間を30年に伸ばし、25年経過時点で繰り上げ返済をしたほうがお得だということになります。
583万円を601万円にするには約3%増えればよく、25年間で3%は個人年金などの安全な金融商品でも十分達成できます。
返済期間は「とりあえず元のまま」ではなく、一度しっかり計算してみたほうがよいと言えるでしょう。
文/編集・dメニューマネー編集部