「ハッピーターン」や「柿の種」で有名な亀田製菓の株価が急騰した。2月2日の決算発表後2日間で13%の上昇、2022年8月以来1年半ぶりの高値を付けた。足元の好業績と亀田の世界進出を受けて株価が上がったようだ。
柿の種とハッピーターンで米菓日本一
亀田製菓 <2220> は、米菓では市場シェアは38%(2022年度)にも達し、1975年以来、国内首位を走る。本社を米どころの新潟に構え、「あられ」などお米の菓子(米菓)を販売する老舗メーカーだ。
売り上げの71%が国内の米菓事業(2023年3月期)で、「亀田の柿の種」と「ハッピーターン」の2商品が40%弱を占めている。安定した事業なものの、普段から株式市場で注目されることはそれほど多くはない。
柿の種とハッピーターンなどの値上げで利益好調
ところが、2月2日に発表した第3四半期決算(2024年3月期、4月〜12月)を受け、翌営業日の7日の終値は5.7%まで買われた。8月1日から、「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」などの値上げや内容量を減らす実質値上げをしたことが貢献した。
10〜12月期に限ると、売上高は260億円(1%増)と3四半期ぶりに前年同期比プラスに転じ、営業利益が20億円(42%増)と大幅増益になったのが株式市場で注目を集めた理由だ。
累計の4月〜12月期に関しては、売上高が701億円(2%減)、営業利益は28億円(8%減)のため、売り上げも利益も減少しており、パッと見では良い決算には見えない。それだけサプライズ感の大きい決算となった。
「柿の種」は今後、世界から注目されるかも?
亀田は、米国とお米文化の定着しやすいアジア地域への展開を進めている。現在、海外事業の売上高構成比は全体の15%を占めている(2023年3月期)。売上高は伸びている傾向にある。
成長戦略として、お米の可能性を最大限に引き出し、世界で新価値、新市場を創造することを掲げている。「ライスイノベーションカンパニー」として製菓業から米業、食品業へ分野へ広げる計画だ。
米国では健康志向で、オーガニック(有機栽培)、グルテンフリー(小麦グルテンを含まない)、ヴィーガン(純菜食主義)、ホールグレイン(全粒粉・全粒穀物)をコンセプトとするクラッカーを拡販している。
アジアでは、中国、ベトナム、タイに拠点を設けている。ベトナムで生産している揚げ米菓「ICHI」は同国のナショナルブランドへと成長している。
世界的に、寿司、ラーメン、豆腐など日本食の人気が高まっている。お米はグルテンフリーに代表される健康志向や日本食ブームが追い風となり、低アレルギー・低脂肪が注目されているだけに潜在的な可能性は大きい。
柿の種やハッピーターンが世界中で食べられるようになる日は遠くないのだろうか。
文/編集・dメニューマネー編集部