老後の年金はいくらくらいもらえるのか、具体的な金額を知らないという方も多いのではないでしょうか。会社員や公務員の方は、現役のあいだの収入が多いほど将来の年金も多くなります。では、年収がいくらくらいなら月20万円の年金を受け取れるのでしょうか。
将来の年金額はどう決まる?
年金の金額はどのようにして決まっているのか、かんたんに整理しておきましょう。
国民年金は加入期間が重要
日本に住む20歳以上60歳未満の方が全員加入することになっているのが「国民年金」です。国民年金(老齢基礎年金)の金額は、加入期間(保険料を支払った期間)に応じて変わります。収入は関係ありません。
20歳~60歳まで保険料を全額支払った場合、受け取れる年金額は月額およそ6万5,000円です(2021年度)。この金額が上限となるため、国民年金だけに加入している自営業・フリーランス・専業主婦(主夫)などの方は「月20万円の年金」は達成できないことがわかります。
厚生年金は現役時代の収入も影響
一方、会社員や公務員の方は、国民年金だけでなく厚生年金にも加入しています。厚生年金は国民年金と違い、受け取れる年金額は加入期間だけでなく「現役のあいだの収入」によっても変わってきます。さらに、家族構成(配偶者と子どもの年齢や人数)などによって加算されることもあります。
月20万円の年金をもらうために必要な年収は?
厚生年金に加入している人が月20万円の年金をもらうには、年収がいくら必要なのでしょうか。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報(2019年度)」によると、会社員だった方が受け取る老齢厚生年金の平均は月額およそ14万6,000円となっています。
月20万円の年金を受け取るためには、平均以上の年収が必要です。具体的には、20歳から40年間加入する場合、その間の年収が800万円程度あれば年金額が月20万円前後になります。
夫婦2人で達成するなら
夫婦2人で月20万円ならもっとハードルは低くなります。夫婦どちらかが「平均的な老齢厚生年金額(月14万6,000円)」、もう片方が自営業や専業主婦(主夫)などで「平均的な老齢基礎年金額(月5万6,000円)」をクリアしていれば、達成できます。
ちなみに、日本年金機構では「厚生年金加入者の夫婦2人分の標準的な年金額」を月額およそ22万円と公表しています。これは、平均年収約530万円で40年就業した夫+40年間ずっと専業主婦の妻という前提で計算されています。
年金を増やす方法
収入が低くても、年金を増やす方法はあります。
・繰り下げ
……年金の受け取り開始時期を遅らせると、1回あたりの年金額が増額される。
・iDeCo(個人型確定拠出年金)/企業年金
……将来の公的年金(国民年金や厚生年金)の上乗せができる制度。
・付加年金/国民年金基金/小規模企業共済
……自営業やフリーランスなどが加入できる、自分で自分の年金を作れる制度。
「年金が少なくてまずいかも……」と不安な方は、こうした制度の活用も検討してみましょう。
自分が将来いくらもらえるのか知っておこう
月20万円の年金を受け取るには、年収800万円が1つの目安です。ただし、年金制度は非常に複雑で、さまざまな条件が金額に影響します。
自分の年金がいくらくらいになりそうかは、日本年金機構の「ねんきんネット」などで調べられます。将来の年金額を知っておけば、老後の資金計画を練るときに役立ちますし、対策も立てやすくなりますよ。
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
(2022年12月16日公開記事)