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バブルで買われる株、見放される株とは?ITバブル期の日経平均に学ぶ

2024/02/19 05:00

日経平均が34年ぶりの高値 をつけた。平成バブル期につけた1989年の史上最高値の更新も視野に入ってきた。バブル時の株式市場は、特定銘柄や特定セクターに資金が集中する傾向がある。過去のバブルを参考に投資のヒントを探ろう。 金融市場のバブル時は特定の資産にお金が集まる 金融市場では、株式を始めとした金融資産が実態の価値以

日経平均が34年ぶりの高値 をつけた。平成バブル期につけた1989年の史上最高値の更新も視野に入ってきた。バブル時の株式市場は、特定銘柄や特定セクターに資金が集中する傾向がある。過去のバブルを参考に投資のヒントを探ろう。

金融市場のバブル時は特定の資産にお金が集まる

金融市場では、株式を始めとした金融資産が実態の価値以上に買われる状態を「泡」(バブル)にたとえられる。

バブル時は、すべての金融資産が買われるわけではなく、特定のテーマや業種にお金が集まり、他の資産には資金が回りにくくなる。

しかしバブルが崩壊すると、ピークからの下落が非常に大きくなるのも特徴だ。

日本では「平成バブル」と「ITバブル」が有名

典型的な株のバブルは、日本では平成バブルとITバブルだ。

平成景気の拡大 は1986(昭和61)年から1991(平成3)年と長く続き、不動産と株価の上昇が平成バブルを牽引した。注目されたのは、不動産や金融などの内需株が中心だった。

日経平均は1985(昭和60)年末比で約3倍になったが、1989 (平成元)年12月に3万8957円でピークをつける。バブル崩壊後の下落は1992(平成4)年に一旦下げ止まるまで約6割下げた。

ITバブルは 1999(平成11)年から2000年に起こった。米国発のインターネットというイノベーションが世界を変え始めたことがきっかけだ。注目されたのはネット関連株でハイテクのウェートの高いナスダック総合指数が上昇を牽引した。

ナスダック は、1998年末比で約2.3倍になったが、2000年3月に5132ポイントでピークをつける。2002年に下げ止まるまで約8割下げた。日本株もネット関連株やテクノロジー株が急騰した後急落した。

買われる株はAI・半導体関連、見放される株はそれ以外の世界が到来?

今回はまだバブルと決まったわけではない。それこそ買われている銘柄の企業業績が急拡大し、株価が実態に追いつけば、バブルとは言えない。

しかし、一部のハイテク銘柄に資金が集中するのはITバブルに似てきた。

今回の株価上昇がバブルとなった場合は「AIバブル」「半導体バブル」と呼ばれそうだ。発端はOpenAI社が2022年11月に公開した生成AI「ChatGPT」だ。人工知能が幅広い分野の質問を瞬時に返信することから注目が一気に集まった。

スイスの金融グループUBSの分析では、ChatGPTのアクティブユーザー数が1億人に到達するのはたった2ヵ月だった。TikTokが9ヵ月、Instagramが2年半であるのに対して史上最速だった。

注目はマグニフィセント7、東京エレクトロン、ソフトバンクなど

多くの仕事がAIにとって代わられる可能性がある。インターネット以上のイノベーションになる可能性がある。OpenAIの筆頭株主である米マイクロソフトについで、アルファベット(グーグル)、アマゾン、アップル、メタ(フェイスブック)など、米IT大手がAIに全力で投資をはじめた。

生成AIが注目されるや否や、米エヌビディアなど大手半導体メーカーではAI関連の半導体の売り上げが急増しはじめた。これが今回の株価上昇のきっかけだ。

米国では上述の6社にくわえ、テスラを加えた7銘柄を「マグニフィセント・セブン 」(荒野の7人)と称し、ナスダックの上昇をけん引している。

日本でも、東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6758> 、ソフトバンクグループ <9984> などが、AI関連として株式市場の上昇の中心だ。主要10銘柄の時価総額が市場全体に占める比率は過去20年で最大になり、集中投資が目立ってきた。東証プライム市場の半導体関連の比率は9%を超えた。 日本株の動きはAI、半導体関連次第になってきている。

企業業績が伸びているうちはいい。ただ株価が実態より高いとなりはじめたら、大きな下落もあり得ることを歴史は物語っている。

文/編集・dメニューマネー編集部