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スカパー、利用者数は減っているのに業績好調の理由とは?

2024/03/05 05:00

衛星放送のスカパーを運営するスカパーJSAT <9412> の株が2006年以来、18年ぶりの高値まで買われた。業績の上方修正で7年ぶりの最高益を見込む。意外かもしれないが、株高は衛星放送・メディアとしてのスカパーへの期待ではない。稼ぎ頭の宇宙ビジネスにある。 業績の上方修正でストップ高 スカパーJSATの

衛星放送のスカパーを運営するスカパーJSAT <9412> の株が2006年以来、18年ぶりの高値まで買われた。業績の上方修正で7年ぶりの最高益を見込む。意外かもしれないが、株高は衛星放送・メディアとしてのスカパーへの期待ではない。稼ぎ頭の宇宙ビジネスにある。

業績の上方修正でストップ高

スカパーJSATの株価は2月8日、前日に発表した決算の上方修正を好感し、買い気配で始まった。一時は、制限値幅いっぱいのストップ高まで買われる場面があった。

その後も上げ基調は続き、19日には2006年以来18年ぶりの高値となる959円まで買われた。決算発表後の上昇率は15%高。2023年安値からの上昇率は5割を超えた。

投資家は、好調な宇宙事業に注目している。

2024年3月期(4〜3月)の営業利益予想を225億円(前期比0.8%増益)から250億円(同12.0%増)に25億円の上方修正を行った。7年ぶりに過去最高益を更新する見込みだ。部門別では25億円の上方修正のうち、17億円分が宇宙事業、8億円分がメディア事業での上乗せとなる。

スカパーの契約件数は7年連続で減少

AmazonのPrime Video、Netflix、TVerなどネット系の映像配信が人気を集める一方、既存のテレビ局、BS、CSなどのメディアの視聴率や契約件数は下落傾向にある。

スカパーの場合、契約件数のピークは2012年度(2013年3月末)の382万9000件だった。2015年度からは7年連続で減少しており、2022年度は287万5000件、2023年度も12月末で273万件と下落トレンドは変わらない。

利益の9割を稼ぐのは宇宙ビジネス

スカパーの宇宙事業は、今期営業利益の89%を稼ぐ主要部門だ。売上高でも、あと20億円ほどで宇宙事業がメディアを超える。

2024年3月期の予想では、メディア事業の売上高は665億円、営業利益は35億円。宇宙事業の売上高は645億円、営業利益は222億円である。

宇宙事業とは、衛星放送をつかった宇宙インフラビジネスである。スカパーは1989年に日本初の民間通信衛星「JCSAT-1」の打ち上げに成功した。それ以降、アジア最大数となる約30機の静止衛星を打ち上げている。

宇宙から海洋まであらゆる空間をビジネスフィールドとして衛星放送を活用したビジネスと展開している。スカパーを含めた国内外のメディアへの回線提供、航空機・船舶向けインターネット回線、飛行機でネットがつながるのもスカパーJSATのおかげだ。企業向け災害時のバックアップ回線など様々な衛星通信サービスの需要が好調だ。

2023年は日本では宇宙ビジネス関連企業がispace <9348> 、Ridge-i <5572> 、QPS研究所 <5595> と3社が上場した。今年も民間ロケットの成功などで宇宙関連銘柄が注目されることは増えそうだ。

文/編集・dメニューマネー編集部