こんな人が「投資で失敗」する──2つの質問で分かる「感情に流される」ということ

2024/03/16 16:00

あなたなら、どちらを選ぶだろうか。「何もしなくても5万円もらえる」、もしくは「コインを投げて表が出たら10万円もらえるが、裏が出たら何ももらえない」──。 人間は損することを異常に嫌がり、損を避けようとするあまり冷静な判断ができなくなることがある。この心理は、2つの質問で説明できる。 自分の答えと、皆が選ぶ答えは同じ?

あなたなら、どちらを選ぶだろうか。「何もしなくても5万円もらえる」、もしくは「コインを投げて表が出たら10万円もらえるが、裏が出たら何ももらえない」──。

人間は損することを異常に嫌がり、損を避けようとするあまり冷静な判断ができなくなることがある。この心理は、2つの質問で説明できる。

自分の答えと、皆が選ぶ答えは同じ?違う?

冒頭で紹介した質問1をあらためて考えてみてほしい。

● 質問1
A:何もしなくても5万円もらえる
B:コインを投げて表が出たら10万円もらえるが、裏が出たら何ももらえない

どちらを選んだだろうか?

他の人がどちらを選ぶかも気になっただろうが、このケースでは、Aを選ぶ人のほうが多いといわれている。

次に、10万円の借金がある前提で、こちらの質問をされた場合、どちらを選ぶだろうか?

●質問2
A:何もしなくても借金が5万円免除され、残りの借金は5万円になる B:コインを投げて表が出たら10万円の借金が免除されるが、裏が出たら何ももらえない

あなたの答えはどちらだっただろうか。なお、このケースではBを選ぶ人が多いとされる。

質問1と2の各選択肢の内容は、実は同じだ。

Aはお金を確実にもらうことができ、Bはお金をもらえる確率が50%だ。それにもかかわらず、状況が変わると決断も変わってしまう。

これには「プロスペクト理論」というものが関係している。この理論が意味するところは、人間には「損することを異常に嫌がる」「利益が出ているときは安定志向、損しているときはリスク志向になる」といった心理傾向があるという。

そのため、質問1ではお金をもらえる機会を逃すことを「損失」ととらえ、お金を確実にもらえるAの選択肢を選ぶ。

一方で質問2では、借金を抱えている状況にあるため、リスクを負ってでも損失をなくせる可能性のあるBを選ぶわけだ。

これを投資に置きかえてみよう。

たとえば、自分が持っている株の値段が上がったとき、その後下落するのを恐れて早く売ってしまう。反対に株価が下がったときには、損失を確定するのを恐れて保有し続けてしまったりする。人間は自然とそう考えるもので、行動に影響を及ぼすのだ。

プロスペクト理論を使ったマーケティング手法

この「損したくない」という心理を利用したマーケティング手法は、多くの企業が採用している。

たとえば、商品やサービスの無料・割引キャンペーンは「この機会を逃して損をするのは避けたい」という心理を利用している。

お店で買い物した時にもらえるポイントも、「貯まっているポイントを使わないと損をする」という心理を利用し、商品やサービスを再び購入させることを促している。

感情に流されず投資するためにはどうすればいいのか

感情に流されずに投資するには、売買のタイミングなどに迷ったときに、人間は不合理な判断をしてしまうことを思い出すことが大切だ。それだけでも冷静な判断につながるかもしれない。

そのほかに「投資資産が20%増えたら売却する」「●円まで下落したら損切りする」のように自分の中でルールを決めておくことでも、一時的な価格変動に惑わされにくくなるだろう。

投資やビジネス・仕事に限らず、日常生活で選択を迷ったときや、「これはお得だ」と飛びつきそうになったときは、一旦立ち止まって、それが本当に合理的な根拠にもとづくものなのか、考える習慣をつけたほうがいいかもしれない。

文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部

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