日経平均が3月4日、史上初の4万円台に乗せたが、個人投資家からは「意外と儲かっていない」という声が聞こえる。その理由として考えられるのは、個人が逆張りで早めに売ってしまっていること、半導体関連に乗れていないと上げている実感が少ないことだろう。
足元の日経平均株価の動きは4万円台の達成感から、調整局面にある。まだ強気でいいのだろうか、物色動向は変わらないのだろうか?
逆張りの個人投資家は早く売り過ぎ?
個人投資家は「下げている時に買い、上げると売る」という逆張り戦略を好む。
2022年の日経平均は米金利上昇を嫌気して9.4%下げた。その下げ局面で、個人は現金・信用合計で年間1兆1700億円買い越した。なんと1990年以来32年ぶりの買い越し額だ。2023年は円安で企業業績が上振れ、日経平均は年間で28.2%上げた。個人は逆張りで2兆9100億円売り越した。
2024年は2月第4週までの9週間ですでに1兆2000億円売り越している。うち、1兆600億円売り越したのが1月2週である。1月2週は日経平均が3万5000円に乗せた週。2013年11月2週以来10年ぶりの大幅売り越しだった。
海外投資家が年初からに3兆400億円買い越しているのと対象的だ。個人投資家は、売った後に日経平均が大きく上昇していることから、儲けが少ないという話が出るのだろう。
日経平均は“半導体の動き”に大きく左右される
日経平均は、日本経済新聞社が定めたルールに基づき、約3900社の上場企業から日本を代表する上場企業225社のみで構成される指数のため、構成銘柄によって片寄りが生じやすくなる。
日経平均を占める比率が高い銘柄は次のとおりだ。半導体関連が目立ち、4社のウエート合計で約30%を占めるほどだ。
1位 ファーストリテイリング <9983> 10.9%
2位 東京エレクトロン <8035> 9.6%
3位 アドバンテスト <6857> 4.6%
4位 ソフトバンクグループ <9984> 4.6%
その他、4位以下の上位には、信越化学 <4063> 、レーザーテック <6920> 、ソニーグループ <6758> などもあり、半導体関連のウエートは約25%になる。
今回の株高は、米国のエヌビディアなどAIと半導体関連株高が日本株にも波及した。日本でも半導体関連が主導している。今の日経平均は「半導体株指数」となり、米ナスダック指数との連動性が高まっている。
これから上がる株も半導体?それとも割安株?中小型株?
金融機関や投資家の見通しは次のとおりだ。
野村證券(2月28日付けレポート)日経平均のターゲット:4万3000円
グローバル投資家が低めに設定している日本株のウエイトを中立に変えるだけでも10兆円の買い余力があると試算している。
三菱UFJモルガンスタンレー証券(3月1日付けレポート)日経平均のターゲット:4万2204円
半導体関連株や大型株への注目度が高い状態が続く見立て。しかし、直近ではグロース市場銘柄が物色される兆しも見え始めたとして、物色の拡がりに期待している。
ブラックロック ストラテジスト(日本株を最も保有している海外投資家)
日本株にはまだ上昇余地があり、堅調な企業業績とコーポレートガバナンス改革がさらに株価を押し上げるとみている。物色動向は半導体・AIの大型銘柄で変わらないとみているようだ。
ウォーレン・バフェット氏(著名投資家)
2020年に日本の総合商社の大株主になったことで海外投資家の日本株への注目を高める役目を果たした。株主にあてた書簡で、日本の大手商社に対しては強気を継続しているようだ。
高値警戒感を指摘する声はほとんど聞こえてこない。足元の調整は一時的で、今後も強気の姿勢というのが大方の見方のようだ。
文/編集・dメニューマネー編集部