投資では「買うのよりも売るほうが難しい」と言われます。持っている株の価格が上がったら「もっと上がるかも」と思うものだし、下がったら「元に戻るかも」と思うものだからです。それならいっそのこと、売ることは一旦、“忘れてみる”のも手かもしれません。
というのも、“株を持っているだけ”でもらえるものがあるからです。
もらえるもの1 配当金
株を持っていると、業績に応じて株主に支払われるお金・配当金が株数に応じてもらえます。
配当が高いことで知られるJT <2914> の2023年度の1株あたりの配当金は194円でした。100株持っていれば1万9400円もらえるわけです。
2024年4月3日の終値が4,112円なので、この値段で利回りを計算すると、約41万円の投資で配当が1万9400円なので、4.71%です。
すべての企業が配当金を出しているわけではありませんが、配当金をずっと増やし続けている企業は「連続増配銘柄」として知られ、花王 <4452> やSPK <7466> 、三菱HCキャピタル <8593> などが有名です。
もらえるもの2 株主優待
株主優待は、株主に自社製品やサービスの優待品を贈る仕組みです。日本マクドナルドHD <2702> やすかいらーくHD <3197> などの優待券などが有名ですが、自社サービスとは関係ないQUOカードやお米を贈るところもあります。
必ず優待を受けられるわけではありませんが、魅力的な優待のある会社も少なくありません。
たとえば、イオン <8267> のオーナーズカードはイオングループの店での買い物の半年ごとの合計金額(100万円まで)に、株数によって決められた返金率でキャッシュバックを受けられます。100株の場合の返金率は3%で、半年間に20万円買い物をしたら6000円戻ってきます。
もらえるもの3 貸株の金利
持っている株は“貸して”金利をもらうことができます。これを「貸株」といい、主なネット証券なら取り扱っているサービスです。金利は証券会社や銘柄によって異なりますが、相場は年率0.1%ほど。ただ1%以上の銘柄もあります。エッジテクノロジー <4268> のように年率8%を超える銘柄もあります(証券会社による)。
貸株の金利が0.1%だとして50万円相当の株を貸し出すと、1年間に受け取れるのは500円です。
貸株は、持っている株を貸し出すため、配当や優待が受け取れなくなりそうですが、ほとんどの証券会社では貸株を一時的に解除して、配当金や株主優待を受け取れるサービスを提供しています。
配当や優待は続くとは限らない
これら3種の株を持っているともらえるお金──配当金、株主優待、貸株の金利──は、株の値上がり益に比べるとそれほど大きな額を期待できませんが、株を持ち続けていれば毎年のように受け取れるので、利益が積み上がっていきます。
ただし、会社の業績が悪化すると、株価が下がったり、配当や優待がなくなったりする場合があります。長く持ち続けている株でも、ときどき配当予想などをチェックするようにしましょう。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部