「親の見守り」サービスにかかる費用は年間数千円から26万円のものも?【10年のシミュレーション】

2024/04/14 17:00

「見守りサービス」は親と離れて暮らす人にとって便利だが、その費用は数千円で済むものから、年間20万円以上かかるものまで様々だ。どんな種類があり、どのくらい費用がかかるのか、見守り方法別に10年間のコストをシミュレーションしてみた(文中価格は税込み)。 とにかく安全性重視で見守り!費用は20万円超えも 見守りサービスには

「見守りサービス」は親と離れて暮らす人にとって便利だが、その費用は数千円で済むものから、年間20万円以上かかるものまで様々だ。どんな種類があり、どのくらい費用がかかるのか、見守り方法別に10年間のコストをシミュレーションしてみた(文中価格は税込み)。

とにかく安全性重視で見守り!費用は20万円超えも

見守りサービスにはカメラやセンサーで感知するものや、実際に人が訪問するものなどいくつもの方法があるが、一番安心できるのは何かあったとき“すぐに駆け付けてくれる”サービスだろう。

セコム <9735> が提供する「セコム親の見守りプラン」は、体調不良や火災を検知したときなどに24時間365日いつでも駆けつけてくれる。家の中に設置したセンサーが親の安否を確かめるのはもちろん、火事や侵入者も感知しセコムへ連絡がいく。

料金プランは機器レンタルと買取りの2つがあり、レンタルの場合は初期費用4万8400円に保証金2万円(契約満了時返却)がかかり、月々の料金は5060円だ。初年度は年間12万9120円の費用がかかる。

買取りの場合だと契約時にシステムの買取料金が21万9890円かかり、月額料金は3410円なので初年度の年間費用は26万810円になる。

10年間続けたときの費用合計

レンタル契約……65万5600円=(5060円×12ヵ月)×10年+4万8400円
買取契約……62万9090=(3410円×12ヵ月)×10年+21万9890円

ALSOK(綜合警備保障 <2331> )の「HOME ALSOK みまもりサポート」も同じようなサービスで、ボタンを押すだけでALSOKの担当者が駆けつけるほか、熱中症の注意喚起や健康相談もしてくれる。

こちらはお買い上げプラン、レンタルプラン、ゼロスタートプランの3つの料金プランがあり、お買い上げプランは契約時に初期費用7万565円、機器費5万7200円、設置費1万3365円がかかる。月額費用は1870円なので最初の1年間にかかる費用は16万3570円だ。

レンタルプランの場合は、初期費用と設置費でそれぞれ1万3365円、月額料金が2838円かかるので、1年目の費用合計は6万786円。ゼロスタートプランは文字通り初期費用がかからないが、月額費用は3069円かかるため1年間の合計は3万6828円だ。

「HOME ALSOK みまもりサポート」10年間のコスト

・お買い上げプラン……36万5530円=(1870円×12ヵ月)×10年+14万1130
・レンタルプラン……36万7290円=(2838円×12ヵ月)×10年+2万6730円
・ゼロスタートプラン……36万8280円=(3069円×12ヵ月)×10年

こうした、すぐに駆けつけてくれる見守りサービスは安心感が大きい一方で、体調や生活状況などを把握しにくい面があるほか、料金が高い点もデメリットといえるかもしれない。

年間数万円でできる見守りサービスとは

あまり大げさにせず親を見守りたい人向けのサービスとしては、たとえばヤマト運輸(ヤマトホールディングス <9064> )の「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」がある。これは電球のON、OFFを通信で知らせる「ハローライト電球」を家に設置して親の状況を確認する見守りサービスだ。

トイレや廊下などの電球をハローライト電球に交換するだけなので始めやすく、初期費用もかからない。月々の料金も1078円なので、年間の費用合計は1万2936円、10年間使ったとしても12万9360円で済む。

クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン……12万9360円=(1078円×12ヵ月)×10年

郵便局(日本郵政 <6178> )は、全国ほぼどの地域にもある利便性を活かした訪問型の見守りサービス「郵便局のみまもりサービス」を行っている。

月に一度、郵便局員が利用者の家を訪れ、定められた質問に答えてもらったり、会話などを通したりして本人の状態を確かめてくれる。料金は月額2500円で、費用は年間で3万円、10年間では30万円になる。

郵便局のみまもりサービス……30万円=(2500円×12ヵ月)×10年

オプションとして「みまもりでんわサービス」や「駆けつけサービス」があり、こちらはそれぞれ月額1280円、880円がかかる。

東京ガス(東京瓦斯 <9531> )の「親の見守り」も地域に根差した見守りサービスで、ドアの開け閉めを感知するセンサーを設置して様子を通知する。

対象は、東京、神奈川、千葉、埼玉に親が住んでいる人で、見守る側はいつでも親の様子をスマホで確かめられる。料金は初期費用が9000円、月額費用が980円で、初めの1年間では2万760円かかる。

東京ガス「親の見守り」12万6600円=(980円×12ヵ月)×10年+9000円)

センサーで感知する見守りサービスは親のプライバシーが守られる反面、実際の生活状況が分かりづらいという側面がある。

訪問型の見守りサービスは健康状態や生活の悩みなどを把握しやすいのがメリットといえるが、緊急時の対応は難しいのがデメリットといえるだろう。

数千円からできる家電を使った見守り

親を見守る方法の一つとして見守り家電の利用があるが、象印(象印マホービン <7965> )の「象印みまもりほっとライン」はメーカーとしての知見を活かした家電利用型の見守りサービスだ。

通信機能を装備した「iポット」を使って親の様子を確認するもので、ポットの利用状況が1日3回メールで通知される。

料金はポット1台につき初期費用5500円、月額利用料3,300円となっており、最初の1年間では4万5100円が必要になる。

「象印みまもりほっとライン」……40万1500円=(3,300円×12ヵ月)×10年+5500円

見守り家電といってもいろいろなタイプがあり、カメラであれば親の状況を目視で確認できるうえに会話ができるものもある。料金も5000円~1万5000円ほどが多いようだ。

ロボットになると親の動きを追って写してくれたり、声をかけてくれたりとさらに見守りのグレードがあがる。値段は1万円を切るものから7万円程度までと差がある。

普段使っている電球を見守り機能を搭載したLED電球に変えれば、電球の点灯状況で親の様子を確かめられる。価格は1万円ほどなので、寝室、風呂場、トイレなどに付けておくと安心だろう。

人感センサーは低コストで親の見守りができる。キッチンや廊下などよく行き来する場所に置き、人が通過したときにスマホへ通知してくれるものも。4000円を切る商品もあるので、手始めに付けてみてもいいかもしれない。

こうしたカメラやロボットは親の様子を目視できるメリットがあるが、見られることに抵抗がある親には不向きだろう。また、LED電球や人感センサーは低コストで親もプライバシーが保てる反面、様子を詳しく知ることはできない。

見守りサービス、見守り家電とも、始めるときは費用感とともに親とよく相談することが何より大事ではないだろうか。

文/編集・dメニューマネー編集部