株式投資を始めるのに必要な証券口座だが、1社作って終わるともったいないかもしれない。実際に、投資家の約3割の人が証券口座を2つ以上持っているというデータもある。「なぜ、わざわざ証券口座を複数作らないといけないの?」と思うかもしれないが、うまく使い分けられたらメリットが多いのだ。もちろん一方で知っておかなければ損することもある。
メリット 証券会社のサービスを目的に応じて使い分けられる
証券口座を複数持つメリットは、取扱商品や、提供しているサービスに違いがあるからだ。
たとえば米国株や中国株投資にチャレンジしたいと思っても、今口座を開いている証券会社がそれぞれの国の株式を取扱っていなければ別で口座を開く必要がある。
また、各証券会社はそれぞれ開発した独自の便利な提供するツールがあり、これを目的に口座を開く人もいる。
たとえばトレーディングツールで有名なのは、SBI証券の「HYPER SBI2」や岡三オンラインの「岡三ネットトレーダープレミアム」がある。またマネックス証券の「銘柄スカウター」なら、過去10期超の企業業績を見られるのなど銘柄分析に役立つ。
証券口座を開くだけなら、手数料はかからない。証券会社ごとに特色のあるサービスを使いたい人にとって、もう一つ口座を持つメリットは大きい。
デメリット 複数口座あると管理しづらくなる
こうしたメリットがある反面、注意点もあって、それは管理がしづらくなることだ。
たとえば日本株はA証券、米国株はB証券で買うと、ポートフォリオ全体の把握が(1社で投資するよりも)難しくなる。このため、複数の証券会社の銘柄を管理できるアプリを使うなど、少し工夫しなければならない。
また、金融機関をまたがると自動で損益通算を行ってくれないので、確定申告が必要になることもある。
一つの証券口座にまとめることもできるが……
もし既に複数の証券会社で株や投資信託を持っている場合、特定の証券会社に移して(移管)、口座をまとめるのも一つの手段だ。
ただし移管するにも条件があって、たとえばNISA預かりの銘柄はNISAのまま移し替えられないし、投資信託なら移管先で同じ銘柄の取扱いがないと手続きできない。そもそも、PayPay証券など移管の受け入れをしていない証券会社もある。
さらに、移管するのに手数料がかかるところもあるので、金融機関ごとの取扱いはあらかじめ確かめておこう。
文/編集・dメニューマネー編集部