実業家の堀江貴文氏や前澤友作氏など、有名人が投資を勧める広告をInstagramやFacebookで目にしたことはないでしょうか。
最近、これらのSNSで有名人になりすまし、金銭をだまし取る「投資詐欺」が横行しています。堀江氏らはなりすまし広告の規制を強化するよう自民党の会合に出席、対応を求めたほか、前澤氏はメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)を告訴する方針を示しています。
多くの詐欺広告はInstagramやFacebookで表示されている
SNS詐欺広告でよくある詐欺は、有名人の画像などを使い、さもその有名人が関係しているかのようにみせ、「儲かる話を無料で提供する」としてLINEグループに誘い、投資資金などをだまし取るという手口です。2023年の「SNS型投資詐欺」の被害は2271件、被害額は約278億円にのぼります(警察庁)。
詐欺広告に使われていると見られる有名人には、堀江・前澤両氏のほか、経済アナリストの森永卓郎氏・森永康平氏親子、ジャーナリストの池上彰氏、経済ジャーナリストの荻原博子氏、元プロ将棋棋士で個人投資家の桐谷広人氏らがいます。
報道によれば、1000万円単位の金銭をだまし取られる人もいます。川崎市在住の80代の女性は、著名な経済アナリストを名乗る業者から投資をもちかけられ、「1億2000万円の利益が出た。引き出すには手数料がかかる」などといわれ、3000万円をだまし取られたそうです。
こうした投資詐欺が起こる主な背景としては、広告が表示されるInstagramやFacebookなどのプラットフォーム事業者の対応が十分でないことが指摘されています。
InstagramとFacebookはいずれもメタ・プラットフォームズの運営で、同社は対策を講じている旨を発表していますが、悪質な業者が高度な技術を使い、同社の広告審査システムをすり抜けていると見られ、対応は追いついていないようです(だからこそ、SNS利用者の目に入るわけです)。
詐欺広告にだまされないための3ヵ条
詐欺広告にだまされないために、少なくとも次の3つを知っておきましょう。
1 広告を見た後、ネット検索、本人の公式SNS確認をする
有名人の広告を見かけたら、本物なのかインターネットで検索し、本人のSNS公式アカウントを確かめましょう。本人が、「広告は詐欺なので気を付けて」と発信していれば詐欺と気づけます。
2 詐欺の特徴を知っておく──通話しても確実とは言えない!
投資資金の振り込みを求められた時、振込先が個人の場合は詐欺の可能性が高いと考えられます。
また、広告に出ている本人と電話やビデオ通話しても、本人とは限りません。最近は、AI(人工知能)で音声や動画を作ったり合成したりできるからです。「本人と話したから大丈夫だ」と思わないことです。
3 お金を払う前に専門機関に相談する
それでも判断がつかない場合、お金を払う前に専門機関に相談しましょう。たとえば、金融庁の「金融サービス利用者相談室」(0570-016811)では、相談にのってくれたり、アドバイスや情報提供をしてくれたりします。
「必ず儲かる投資話」など存在しません。「有名人が勧めているから」と安心せず、その原点に立ち返り、詐欺から自分の身を守りましょう。
文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部