近年、自転車による事故が増えているが、もし相手を怪我させてしまったら1億円の賠償金を請求される可能性もある。自転車保険への加入が当たり前になりつつあるなか、家族構成やライフスタイルによってどんな自転車保険を選んだらいいだろうか。
通勤や買い物で毎日自転車を使っている
通勤や買い物などで毎日のように自転車に乗る人は、事故に遭う可能性が高いと言えるため、相手への補償である「個人賠償」と自分のケガなどに備える「傷害補償」を充実させたほうがいいだろう。
自転車は道路交通法で軽車両と定められており、事故で相手を怪我させた場合は自動車事故と同じように高額な賠償金を請求される可能性がある。
賠償金1億円が課せられた事例もあるため、個人賠償の補償金額は1億円を目安にすれば安心できるだろう。
傷害補償については医療保険などの保険に入っている場合、補償が過剰にならないよう気をつけがほうがいいだろう。
たとえば入院給付金をつけるなら、1日あたりの入院費用が平均約2万円(生命保険文化センター調査)なのを考えると、自転車保険と他の保険を合わせた入院給付金合計が日額1万円になるようにするといいかもしれない。
また自転車事故でも相手との交渉が必要となる場合があるので、示談交渉サービスがついている保険のほうがより安心できる。
これらの条件が揃った自転車保険の一つに、損保ジャパン(SOMPOホールディングス <8630> )の「サイクル安心保険」がある。
この保険のBプランは個人賠償補償金額が1億円、入院給付金が日額3000円、示談交渉サービスもついていて保険料は年額2690円だ。
楽天損保の「サイクルアシスト充実タイプ」は入院給付金がもっと充実しており、個人賠償額1億円、入院給付金が1万円、示談交渉サービスありで年間保険料が8320円になる。
他の医療保険などに入っていないのであれば、これくらい入院給付金を充実させるのもありだろう。
子供が通学や遊びにいくとき自転車を使っている
子供が通学や塾通い、遊びに行くときなどに自転車を使っている場合でも、自転車保険は大人と変わらない補償をつけたほうがいいだろう。
子供が起こした自転車事故で1億円近い賠償請求をされた事例があるし、19歳以下の自転車事故件数が全体の38%を占めているという調査結果もある(交通事故分析センター平成29年調査)。
子供も含めて家族で自転車を使っているなら、家族プランのある自転車保険を選べば保険料が割安になる。
上記であげた「サイクル安心保険」の家族補償プランであれば、個人賠償額1億円、入院給付金日額6000円、示談交渉サービスありで年間保険料は4370円だ。
三井住友海上(MS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> )の「ネット de 保険@サイクルCコース」なら、年間保険料5530円で家族の誰かが事故を起こしても個人賠償額3億円、入院給付金日額6000円を補償してくれるうえに示談交渉サービスもついている。
入院給付金をもう少し充実させたい人には個人賠償額2億円、入院給付金日額8000円、示談交渉サービスもつくau損保の「Bycle」ブロンズコースが魅力的かもしれない。
家族全員がこれだけの補償を受けられて年間保険料は7440円、保険料を月額払いにすることもでき、その場合は月額680円になる。
趣味で休みの日はロードバイクに乗っている
趣味としてロードバイクなど高額な自転車に乗っている人は、事故に備えるための自転車保険だけでなく、盗難や破損への備えも必要だろう。
損害保険会社の自転車保険には盗難時の補償がないので、その場合盗難・破損を補償してくれる自転車保険に入る必要がある。
自転車の盗難・破損を補償する保険は、加入条件が購入金額10万円以上の自転車である場合が多く、たとえばSBI日本少額短期保険の「みんなのスポーツサイクル保険」は10万円(文中価格は税込み)の自転車であれば月額410円、年額4920円の保険料で全損、半損、盗難を補償してくれる。
全損の場合は保険金額の100%、半損なら50%、盗難であれば100%が支払われる。
自転車の金額が上がれば当然保険料も上がり、たとえば参考価格24万840円の「TREK Emonda SL5」なら年間保険料が1万2300円、月々1025円になる。
参考価格42万1200円の「cannondale Slate Force 1」であれば年額2万1156円、月額1763円だ。
いずれのケースでも保険料の支払額が自転車の価格を超えるには20年ほどかかる計算になるので、費用対効果の面でも入っておいて損はないだろう。
自転車保険加入率は65.6%(2024年1月時点)だが、加入を義務づける自治体も増えており、今後ますますライフスタイルに合わせた自転車保険選びが必要になってくるのではないだろうか(なお文中で紹介した保険商品は、価格参考のための例示であり、特別に推奨する意図はない)。
文/編集・dメニューマネー編集部