株式投資

チョコザップ人気の中、なぜ?──RIZAPグループ「株価下落」の理由とは

2024/05/28 07:00

手軽で人気のスポーツジム・chocoZAP(チョコザップ)を運営するRIZAPグループの収益が大幅に改善している。今期は3期ぶりに黒字転換する見込みだ。しかし好決算にもかかわらず、株価は低迷している。株式市場の反応の理由に迫る。 好決算でも一時ストップ安 チョコザップを運営しているRIZAPグループ <2928&

手軽で人気のスポーツジム・chocoZAP(チョコザップ)を運営するRIZAPグループの収益が大幅に改善している。今期は3期ぶりに黒字転換する見込みだ。しかし好決算にもかかわらず、株価は低迷している。株式市場の反応の理由に迫る。

好決算でも一時ストップ安

チョコザップを運営しているRIZAPグループ <2928> は5月15日、2024年3月期決算 を発表した。売上高は8%増(1662億円)と3期ぶりに増収に転じた。本業で稼いだ利益を示す営業利益は5億円の赤字と前年度(49億円の赤字)から大幅に改善した。

チョコザップは、「簡単、便利、楽しいコンビニジム」 をコンセプトに2022年7月にスタート。店舗数は1500店舗、会員数は120万人(5月15日見込み) まで拡大した。

今2025年3月期は、売上高7%増(1777億円)、営業利益は3期ぶりの黒字転換(63億円)を見込んでいる。しかし決算の翌日5月16日の株価 は、一時、制限値幅いっぱいのストップ安まで売られ、終値は10%(44円)安の378円だった。その後も冴えない動きが続いている。

株式市場の懸念は退会率?

株価が冴えない動きをしている要因の一つには、退会率の上昇が挙げられそうだ。

チョコザップの退会率は0.7%程度で推移している。

しかし、決算説明会資料で退会率が上昇 する可能性が示された。RIZAPが退会率として開示しているのは、アクティブ会員数に対する退会者数である。実際に退会した比率でなく、2022年7月の値を「1」とした指数だ。

また、アクティブ会員数には休会者は入れていない。今までは休会延長を何回でも無料にする制度をとっていたが、今後は休会延長制度を見直す。そのため、退会率が上がると予想しているのだ。

退会率の上昇を防ぐためには、会員の満足度を上げる必要がある。その対策として、「ちょこっとサポート・コンシェルジュ」を増やす方針を示した。現在の「無人ジム」から、今後はスタッフを配置し、「接客するジム」へと進化させる。

トレーナー 500人、コンシェルジュ100人体制を急ぐ。今期のチョコザップ事業への投資は200億円を見込んでおり、新規店舗が100億円、既存店舗への新サービスが30億円、ちょこっとサポート・コンシェルジュが70億円の予定だ。

自治体連携や高速PAにも拡大 投資家は過去の急拡大戦略からの失速の記憶あり

チョコザップの出店計画は今後も高水準を続ける予定で、2026年3月の出店目標 を2000店から2800店に上方修正した。

チョコザップは、月3000円程度で誰もが手軽に着替え・履き替え不要で短時間の利用ができ、どこの店舗でも24時間利用できる。カラオケ、ネイル、マッサージ、クリーニングなどの分野も取り込み、利用者を増やしている。

今後の出店戦略として、地方自治体や高速道路のサービスエリア、パーキングエリアへも拡大する。さらに、MRIやCT検査など医療提携サービスも狙うようだ。

RIZAPには急拡大しすぎた過去 がある。

2010年3月期に100億円に満たなかった売上高が、2018年3月期は1220億円に急拡大した。ボディメイク事業(マンツーマンでダイエット指導をおこない、減量にコミットする)の拡大と積極的なM&Aで、2017年には株価が1545円高値をつけて、前年比5倍以上になった。しかし、その後にボディメイク事業が失速し、株価は 2020年に103円まで下落した。

コンビニジムというコンセプトと、地方や医療との一体化という方向性には、たしかに魅力がある。しかし、ボディメイク事業での失速の記憶が投資家にはあるだろう。退会率が改善に向かうことが株価復活の条件ではないだろうか。今後のチョコザップの動向に注目だ。

文/編集・dメニューマネー編集部

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