手取りの何割を貯蓄するといいのか、悩む人は少なくないでしょう。特に独身の人は自由に使えるお金が多い分、貯蓄にお金が回せるはずですが、うまく貯められない人も多いはず。ただし、同じ独身でも一人暮らしと実家暮らしでは貯蓄に回せる金額に差があります。
一人暮らしは平均して手取りの10%から20%を貯蓄している
一人暮らしの人が、手取りからどれくらい貯蓄に回しているかというと、20代で18%、30代で17%と、年代による大きな差はありません(金融広報中央委員会、2023年「家計の金融行動に関する世論調査」)。40代以上になると少し減りますが、1割以上2割未満といったところです。
20代 18%
30代 17%
40代 14%
50代 14%
調査対象の年間手取り収入は、多くが300万円ほどなので、ボーナスなしと考えると手取り月収は約25万円。そこから毎月2万5000円から5万円を貯蓄しており、1年で30万円から60万円貯まるという計算です。
なお、このデータからは貯蓄をしていない人も30%程度いて、貯蓄額にはばらつきがある点も分かっています。
一人暮らしでも手取りの20%は貯蓄できるはず
こうした実態から、一人暮らしでも、手取りの20%は貯蓄できると考えられます。収入にもよりますが、20代の平均が18%ですから、無理な目標ではないでしょう。
同じ調査で、手取りの30%以上を貯蓄している人もいて、そのうち20%以上が、手取り年収300万円から500万円です。一人暮らしでも手取りの20%の貯蓄は決して無理ではないのです。
ただし、貯蓄できる金額は収入が高いほど多くなり、収入が低い人は少なくなります。「20%が無理」なら、まずは10%から始め、余裕ができたら徐々に増やしていくとよいでしょう。
実家暮らしなら手取りの30%くらいは貯蓄できる
同じ独身でも、実家暮らしの人は一人暮らしに比べて生活費の負担が少ないため、手取りの30%は貯蓄できると考えられます。
一人暮らしの支出は月平均で約17万円(総務省、2023年「家計調査」)なので、手取り月収が25万円の人なら、約8万円を貯蓄できます。
支出約17万円のうち約8万円は食費、住居費、水道光熱費で、もし実家の両親にこれらの費用として3万円渡すとしても、一人暮らしの人より貯蓄できるお金が5万円多いことになります。
手取り月収が25万円、生活費の自己負担が12万円だとすると、残りは13万円と、手取りの半分以上です。ここからいくらか遊興費などに使っても、手取りの30%(7万5000円)なら無理なく貯蓄に回せるでしょう。
実家暮らしで、今は貯蓄の必要性を感じていない人もいるかもしれませんが、蓄えがなければ将来困るようになります。貯蓄がなければ、投資や資産運用も始められません。
ついついお金を使いすぎてしまい、いつまでたっても貯蓄できないという人は、家計管理のアプリを使うなど工夫をしてみましょう。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部