FP相談でよく聞く悩みに、「家計が黒字なのにお金が貯まらない」というものがありますが、そうなる原因の多くは計算上の残高と実際に残っているお金に開きがある、「使途不明金」の存在です。
計算上は黒字なのに手元のお金が少ない……
黒字なのにお金が貯まらない家計をチェックすると、計算上の残高と手元のお金が合わないケースがほとんどです。家計簿をつけていない家庭はもちろん、家計簿をつけていても計算上の残高より手元のお金が少なくなってしまうのです。
このようなお金を「使途不明金」といいます。使途不明金が毎月3万円であれば、年間36万円にも上ります。「何か大きな買い物を見落としたのか」と疑う人もいますが、たいていの場合、そうではありません。
使途不明金が生まれるのは、主に、レシートをもらわない少額の買い物です。
たとえばコンビニやレシートを出さない小さな店でのちょっとした買い物、自動販売機などです。また、ランチや飲み会での割り勘を記録しないケースも使途不明金につながります。
使途不明金を見つける方法
自分がどこで使途不明金を生んでいるのかを知るためには、一定期間、財布からお金を出した分を全部記録するとよいでしょう。
家計簿をつけていても、そこまでしている人はほとんどいません。そのため、短期間でよいので小さい金額の支出がどのくらいあるのか調べてみましょう。
この方法で自分の“お金の使い方のクセ”のようなものが見えてきます。たとえば「1日に3本も缶コーヒーを買っていた」「ママ友とのランチ代が思いのほかかかっていた」といった発見があるはずです。
使途不明金をなくすにはどうしたらいいか?
使途不明金をなくすために、家計簿を細かくつけるという方法もありますが、これは大変で、挫折する人も多いでしょう。また、自分がどこでムダ遣いをするのかが分かれば、そこまで細かく管理する必要はありません。
おすすめしたいのが、少額の支出をお小遣いとして管理していく方法です。
たとえば、専業主婦には決まったお小遣いがない人がいますが、その状態では使途不明金が生まれやすくなります。会社員もお小遣いに含める費用をはっきりさせ、予算を決めてその中でやりくりするようにしましょう。
たとえば、スマホ代は家計の通信費、友人とのランチ代はお小遣いといった線引きを決めておくのです。
お小遣いがないと使途不明金が生まれやすくなります。
お小遣いをいくらにするかについては、人それぞれでしょうが、一般的に手取り収入の1割が目安と言われているので、これを参考にして、仮の額を決めて始めるとよいでしょう。
一般的にお小遣いとして管理する項目にコンビニでの買い物、友人とのランチ、飲み会の費用などがあります。その他、お小遣いに含めるか悩みがちな携帯電話代、散髪代(美容院代)といった費用は別に予算を決めて管理したほうがよいでしょう。
使途不明金は、家計管理をしないと気づく機会がありません。なるべく手間のかからない方法で工夫しながら、“なんとなく消えるお金”をなくしましょう。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部