東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス』が6月6日にオープンして人気だが、東京ディズニーリゾート運営のオリエンタルランド <4661> の株価はさえない。理由はなんだろうか。
ファンタジースプリングスの増収効果は750億円
オリエンタルランド(OLC)にとってもファンタジースプリングスは勝負をかけた大きな投資だ。「アナと雪の女王」「塔の上のラプンツェル」「ピーター・パン」の新アトラクションへの投資額は3200億円にのぼり、ディズニーシー開園時の3350億円に迫る大型投資だ。
新エリア効果で2024年の東京ディズニーリゾートの入園者数(2900万人)はコロナ前の2019年の水準まで回復し、売上高は年間約750億円の増加を想定している。
750億円の内訳は、入園者数の増加、ディズニー・プレミアアクセス(アトラクションの時間が指定できるサービス)などの有償コンテンツ販売、ホテルの収入の増(約2割)だ。
株価はファンタジースプリングスに反応せず
OLCはコロナ禍から回復し、2024年1月には5765円の上場来最高値をつけていた。2024年3月期には過去最高の決算だったことや、新エリアへの期待からと見られる。
しかし5月には4270円と年初来安値をつけており、高値からは26%下げている。
つまり、ファンタジースプリングスへの期待は株価に織り込まれていたということだ。株価動向は今後の成長が鍵になる。
軟調な株価は今後の成長への懸念から
ディズニーリゾートは1983年に開園、入場者数は1984年に1000万人乗せ、2001年に2000万人乗せ、2013年に3000万人乗せと順調に拡大してきた。ピークはコロナ前の2018年の3255万人である。
2024年はファンタジースプリングス効果もあり、2019年の2900万人レベルを見込んでいるが、そこから先の成長ストーリーが見えてこない。
現状、入園者の満足度を上げるために、1日あたり入園できる数の上限を下げる(入園者数を減らす)方向だ。
となると、成長のためには、入園料を値上げしたり、グッズ販売・ホテルの売り上げを増やしたりと、1人当たりの利用料金を増やさざるを得ない。この方針は、景気やインバウンド動向に大きく影響されるだろう。
また、次の大型投資は2026年以降だがファンタジースプリングスほどの規模ではない。たとえばシュガー・ラッシュのアトラクション、2027年のスペース・マウンテン周辺の一新などが予定されている。
さらに、ゲストの高齢化問題も指摘されている。18〜39歳の来園者は、2018年度には50%を占めたが、2023年度には41%へ減っている。一方、40歳以上は21%から33%に上がっている。
高齢化はテーマパーク自体への成長懸念にも通じる。
筆頭株主・京成電鉄の保有株の売り出しも懸念
テーマパーク運営以外の懸念材料もある。
まずは日本株の上値が重くなってきたこと。2024年3月に4万1000円台と35年ぶりに過去最高値を更新したが、その後は上値が重くなっている。OLCは日経平均の採用銘柄のため相場の地合いの左右される。
また、OLC筆頭株主の京成電鉄 <9009> が保有する約20%(約1.5兆円)の売り出しも懸念されている。投資ファンドは京成電鉄に対し、OLCの含み益を経営に活かすためにOLC株の売却を求めている。3月には1%分を売却したが今後も売る可能性があるという見方が強い。
株価が動くためには、4〜6月期の決算で想定以上のファンタジースプリングス効果が表れる必要がある。次回の決算に注目だ。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・©Disney
