毎年7月ごろ、子供がかかりやすい手足口病が感染のピークを迎えるが、通常のアルコール消毒剤では効かないと言われている。感染を防ぐには原因ウイルスに効果がある消毒剤を使う必要があるが、その費用はどのくらいかかり、また医療費控除の対象となるのだろうか(文中価格は税込み)。
感染対策の基本、手指消毒アイテムの費用は?
厚生労働省によると、手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発疹が出る、ウイルスの感染によって起こる感染症。例年、報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めるという(感染症発生動向調査)。
病気の原因となるウイルスは、「コクサッキーウイルス」「エンテロウイルス」などと呼ばれるものだが(厚労省ウェブサイトより)、ドラッグストアや薬剤師などによると、手足口病のウイルスは、通常のアルコール消毒剤が効きにくく、感染を防止するにはエタノールのペーハーを酸性に変化させた「酸性アルコール消毒剤」を使う必要があるという。
この酸性アルコール消毒剤は、通常のアルコール消毒剤より若干値段が高い。
アルコール消毒剤は、たとえば健栄製薬の「手ピカジェル300ミリリットル」が680円だが、酸性アルコール消毒剤である「手ピカジェルプラス300ミリリットル」は860円と、同じ容量でも180円高い。
もし3人家族が、1日10回消毒したとすると、1プッシュで3ミリリットルほど出るので、300ミリリットル入りのボトルを10日で1本(1ヵ月で3本)使う計算になり、費用は2580円になる。
5月~9月までケアすると総費用は1万2900円。アルコール消毒剤と酸性アルコール消毒剤とでは、費用差が2700円にもなる。
身の回りの除菌アイテムの費用は?
手足口病の感染を防ぐには身の回りの除菌も大切だが、除菌アイテムを買う際にも、一部のウイルスが通常のアルコール製剤では効果が薄いことを意識したほうがいいようだ。
除菌アイテムで代表的なものは消毒用ウェットシートだが、酸性アルコール消毒剤を使ったウェットシートだと、値段が高くなる。
一般的な除菌シートである「ビオレu除菌やわらかウェットシートアルコールタイプ」の10枚入りが97円なのに対し、サラヤの「速乾性手指消毒剤含浸不織布ウィル・ステラVHウェットシート」は10枚入りが363円で、その差は266円になる。
酸性アルコール消毒剤のウェットシートを1日に5枚使うと1ヵ月で15個必要になり費用は5445円、5カ月分なら2万7225円だ。ビオレuなら5ヵ月で7275円なので、費用差は1万9950円にもなる。
食べ物からの感染を防ぐには調理器具の消毒が欠かせないが、「フマキラーアルコール除菌スプレー」(フマキラー <4998> )は食品原料100%なのでキッチン用品にも使えて、アルコール製剤が効きづらいという。
価格は400ミリリットル入りで425円なので、1ヵ月に1本使っても5ヵ月で約2000円で済む。
感染を拡大させない対策
ドラッグストアのサイトなどによると、手足口病は飛沫や接触が感染経路となるので、もし子供が手足口病に感染してしまったら当人の手洗い、手指消毒、マスクの着用などを徹底する必要があるという。
また感染後2〜4週間にわたって便からウイルスが排せつされるので、トイレの除菌もしたほうがいいだろう。
サラヤの「ノロアウト便座除菌クリーナー」は消毒後はそのままトイレに流せる。価格は10枚入りの3個セットが1200円ほどで、1日1枚使えばちょうど1ヵ月分だ。
これらの感染対策を徹底すれば、手足口病の感染リスクはかなり減ることが期待できるが、費用は3万円近くかかってしまう計算になる(1万2900円+1万3649円+2125円+1200円)。
気になるのが、これらの費用が医療費控除やセルフメディケーション税制になるかどうかだが、残念ながら消毒剤は感染予防の費用なので対象にはならない。
まるまる家計の負担となってしまうが、それでも子供の手足口病感染リスクを減らせるなら、酸性アルコール消毒剤を選ぶ価値は十分あるといえるのではないだろうか。
文/編集・dメニューマネー編集部