8月の株式相場のショック安は記憶に新しいが、大きなショック安の後には、二番底、三番底が来ることもある。今後下がる局面があれば、新NISA投資を活用している人にとってはチャンスになるかもしれない。
伝説の投資家が暴落後に大量注文した銘柄
多くの投資家が8月5日の日経平均の史上最大の下げに直面し、ロスカットや信用の担保追加差入を回避するための売りをいれた。そんな中、大チャンスとみて200億円の買いを入れた投資家もいる。最近では著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)が広く支持されている“伝説の投資家”清原達郎氏だ。
現代ビジネスに掲載された記事によると、暴落を知った5日の夜から6日の朝まで証券会社に200億円以上の注文を入れ、105億円分のメガバンク株を購入できたという。その後、株式市場は急激にリバウンドを見せ、大きなチャンスだったことが分かる。
ショック安後の「二番底」「三番底」、今後起こるのか?
株式市場が急落した後に上昇したケースでは、急落局面で買った投資家が利益を得るために売りを出すこともある。
それが「二番底」「三番底」の正体だ。
過去の株価急落局面(1987年 ブラックマンデー、2001年 ITバブル崩壊、2008年 リーマンショック、2020 年コロナショック)における日経平均はいずれも二番底があった。4回の平均では、2番底まで10営業日、一番底から2.6%下落が2番底だった。
今回は8月5日が大底となり、6日には日経平均は3217円高と過去最大の上げを記録。二番底は今のところない。ただ、市場のボラティリティが高いだけに、まだ次の下落を警戒する投資家もいる。
今回の急落の要因は、米景気失速懸念が米8月雇用統計で増幅され、同時に日銀の利上げスタンスが確認されたことがきっかけだ。ヘッジファンドの円売りポジションが一気に解消され、ドル安・円高になったことが株安の主因とされている。
米経済指標の悪化、米大統領選の行方など、世界景気と世界の金利動向に変化が起きると二番底を見に行く可能性は残っている。
株価急落は投資のチャンス NISA利用時の注意点は?
NISAの最大の利点は、非課税で長期投資ができること。「継続的に投資をすることで安い値段で買える」と考えると、ショック安はNISAの制度を活用するチャンスといえる。
NISAは長期投資が前提のため、集中投資ではなく分散投資を心がけたい。
米国株投資もAI関連株投資も悪くはないが、ショック安をきっかけにトレンドが変わることも多い。
2022年からの米国の利上げで、株式市場はグロース株(成長株)や小型株が売られた。グロースの売りで高配当などのバリュー株(割安株)が買われた。
一つの国や一つのテーマに集中投資せず、分散投資しながら、安いところを買い集める方がリスクは抑えることができるだろう。
株式市場にはヒントがいっぱい
何かのきっかけで、相場をリードする株式は代わる。
今回の戻りを牽引している銘柄、いち早くショック前の高値を取ってきた銘柄など、今後の相場を率いる顔ぶれを見逃さないことが大事だ。
年初来更新銘柄、売買代金上位銘柄など市場の中心銘柄をリストアップし、次の急落場面に備えておこう。
文/編集・dメニューマネー編集部