家計を見直すなら固定費を減らすのが効果的だが、なかでも大きな比重を占めるものの一つが「自動車の維持費用」だろう。はどうすれば減らせるだろうか。ここでは2023年もっとも売れたミニバン、トヨタ自動車 <7203> の「ノア」(7~8人乗り)でシミュレーションしてみた(文中価格は税込み)。
「諸経費」を減らして節約
まず「ガソリン代」は、乗る頻度を少なくすれば、当然ながら下げられる。
週に数回の買い物と、月に1回のドライブで使う場合、1年間の走行距離の目安はおよそ5000キロメートル~1万キロメートル。
ノアのガソリン車は燃費がリッター15.1キロなので、1年間の走行距離が1万キロならガソリン消費量は662.3リットル。ガソリン代が170円なら1年で11万2591円。1ヵ月に換算すると9383円だ。
もしも年間の走行距離を30%ほど減らして7000キロにすれば、1年間のガソリン消費量は463.6リットルとなり、年間のガソリン代が7万8812円、月々6568円で済む計算になる。
月に1回のドライブを少し近場にするなどすれば、毎月2815円節約できるかもしれない。
次に「駐車場代」の節約方法として、屋内駐車場から屋外駐車場へ移すというものが考えられる。
たとえば東京都江戸川区平井4丁目のある屋内駐車場は賃料3万250円だが、近くにある5丁目の屋外駐車場なら8800円で済む(2024年9月10日時点)。
多少の不便を我慢すれば、毎月2万1450円節約できる計算だ。ただし車両の傷みなど別の問題が生じる可能性はある。
そして「自動車保険」の見直しも固定費の節約につながる。
たとえば運転者の範囲を被保険者本人、配偶者、21歳以上の子供でシミュレーションすると、年払保険料3万5490円、月払総額3万5040円(月払保険料2920円)となる。
これを、運転者の範囲を被保険者本人だけにすれば、年払保険料2万2860円、月払総額2万4600円(月払保険料2050円)に減る。
これで毎月870円、1年間で1万440円節約できる。
(シミュレーションの条件……40歳男性/トヨタノア/初年度車検2020年8月/足立ナンバー/使用目的:日常・レジャー/年間走行距離:7001km~10000km/車両保険:一般タイプ/ノンフリート等級:18等級/保険期間中の事故:0回/ゴールド免許)
これらすべての節約を行うと、月にして約2万5000円節約できる。
マイカー“乗り換え”して節約
次に、普通車から軽自動車に乗り換える方法を考える。税金や車検代といった維持費が安くなるからだ。ホンダ「N-BOX」(本田技研工業 <7267> )に乗り換えで検討してみよう。
まず「税金」は、ノアの場合、12年以内の自動車重量税が3万2800円、自動車税は3万9500円(2019年9月までに購入と仮定)だが、軽自動車では新車購入時の自動車重量税が一律に9900円、車検時が6600円、自動車税は1万800円で済む。
2つの税金の合計は、ノアの場合、7万2300円だが、N-BOX では2万700円になり、5万1600円安くなる計算だ。
「車検代」はどうかというと、トヨタのディーラーでは、ノアのクラスの車検費用が9万7150円という店もあり、軽自動車の車検費用は6万2480円なので、車検のたびに3万5000円近く安くなる。
マイカーを“手放し”て節約
最後に、マイカーを持たない選択肢を検討してみる。かわりにカーシェアリングを使うのだ。
カーシェアリングの料金は、ノアのクラスなら15分440円、移動距離1キロあたり20円で利用できるサービス店もある。
もし週に1回2時間(往復5キロ)程度の買い物と、月1回家族でドライブ(往復200キロ)で使うなら、1ヵ月の利用料金は買い物時が7440円、家族ドライブで1万3900円となり、これに月額基本料金880円が加わり、合計2万2220円で借りられる。
買い物……利用時間料金7040円(440円×4×4回)+移動距離料金400円(20円×5キロ×4回)
家族ドライブ……最大時間料金12時間9900円+移動距離料金4000円(200キロ×20円)
なおカーシェアリングではガソリン代や車検費用、保険料などは不要だ。
マイカーを持つのとカーシェアとでは、維持費が2万4381円も違う。
ノアをマイカーとして維持する場合……4万6601円
内訳 ガソリン代9383円+駐車場代3万250円+自動車保険料2920円+車検費用4048円(2年おきに9万7150円のため、24ヵ月で按分)
これらのほかにも、ガソリンが割引になるアプリを使う、電気自動車に乗り換えてエコカー減税を受けるなど、自動車の維持費を削る方法はある。まずはどんな経費が大きなウエートを占めているのか洗い出してみるといいかもしれない。
文・江口剛(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部