カレーライスの調理コストは去年から15%近く上昇
カレーライスを作るには、カレールー、米、具材となるニンジン、タマネギ、ジャガイモ、肉(調査では牛肉)、さらに調理の過程で水、電気、ガスも必要。今回調査を行った帝国データバンクでは、各種価格統計を基に、食材の分量やエネルギーの使用量を配分し「カレーライス物価指数」を独自に試算。生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響を分析しています。
結果、2024年7月のカレーライス1食当たりの調理コストは342円。前年同月の298円から44円の大幅増で、2015年以降の10年間で過去最高を記録。300円を超えるのは2023年8月以降12カ月連続です。
またカレーライス物価指数は前年同月比で14.7%増と、こちらも14カ月連続の上昇。10%を超える上昇幅は2015年以降の10年間で初めてで、価格高騰が顕著となっています。
「牛肉」「ジャガイモ」「ニンジン」そして「米」までも高騰
いったい何が調理コストを押し上げているのでしょうか。調査では、調理コストの内訳を分析。結果、カレーライスで最も費用が高いのは全体の6割程度を占める牛肉や野菜などの具材代で、1食当たり前年同月の183円から28円増の211円に。円安などで輸入牛肉の価格高騰が続いており、加えて今年3月~5月の天候不順による出荷減でジャガイモやニンジンの価格も上昇、高値圏で推移したことが影響しています。
さらに7月には米も高騰し、1食当たりのライス代は101円と前年同月の87円から14円の大幅増。過去10年で最高値を記録しています。
一方で、カレールー代(24円→25円)、調理などで使う水道光熱費(4円→4円)は前年同月から大きな変化はなく、今のところ落ち着いています。
8月以降も最高値を更新する可能性
最高値を更新するカレーライスの調理コストですが、今後はどうなりそうでしょうか。調査では、東京都区部の物価動向を基に8月の調理コストを予想。結果、1食当たり350円と最高値を更新する見通しです。
これは農林水産省が発表した9月分の野菜価格動向から、ジャガイモとタマネギの価格が平年を上回って推移し、高値が見込まれるため。高騰した米の価格が落ち着くのも数カ月先とみられ、当面、好材料が見当たりません。果たして“庶民の味”は戻ってくるのでしょうか。
調査概要
調査名:「カレーライス物価指数」調査(2024年7月)
調査主体:株式会社帝国データバンク
カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標。
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に2020年平均=100とした価格推移。
Finasee編集部
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