年金・保険を見直したい

会社員の国民年金+厚生年金+確定給付企業年金(DB)+iDeCo、老後資金はどう受け取る?

2024/09/24 19:00

65歳で完全引退、セカンドライフを満喫できるのか? 会社員の岸本さん(仮名)は60歳。35歳の息子さんは結婚して独立しており、現在は専業主婦の奥さまと2人で暮らしています。岸本さんは大学を卒業して22歳でエンジニアとしてメーカーに就職、以来複数の会社を渡り歩いてきました。 国民年金と会社員が加入する年金である厚生年

65歳で完全引退、セカンドライフを満喫できるのか?

会社員の岸本さん(仮名)は60歳。35歳の息子さんは結婚して独立しており、現在は専業主婦の奥さまと2人で暮らしています。岸本さんは大学を卒業して22歳でエンジニアとしてメーカーに就職、以来複数の会社を渡り歩いてきました。

国民年金と会社員が加入する年金である厚生年金に加え、今の勤め先には退職金制度として確定給付企業年金(DB)があります。さらにセカンドライフを迎えるときに金銭的な苦労はしたくないと、iDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)にも加入しています。

「現在の年収は600万円です。退職後の預貯金額は2100万円程度になる予定ですが、物価上昇の現状を踏まえると、どのように各種年金を受け取れば良いのか分かりません」と岸本さん。

持ち家で住宅ローンは完済しているため家賃はかからないものの、65歳には完全に引退をしてセカンドライフを満喫したいと考えているそう。確定給付企業年金の受取見込額は300万円で、iDeCoは53歳から月額1万2000円を拠出しているとのこと。

実は前の会社に勤めていた時に大きな病気で手術、長期入院をすることになってしまった岸本さん。リハビリに想定以上に時間がかかり、退職を余儀なくされたとのこと。今の会社には復帰後に再就職したというご苦労を経験されています。そんな岸本さんが受け取れる年金はいくらになるのでしょうか。また、どのような形で受け取ると良いのか知りたいとのことです。

公的年金の受取額を確認してみよう

まずは公的年金の受取額を確認してみましょう。「ねんきん定期便」が手元にあればそちらで確認できます。

岸本さんが65歳から受け取れる年金見込額は、国民年金と厚生年金を併せて年額202万円。専業主婦の奥さまは掛金に未納分もなく、国民年金は満額の81万6000円※を65歳から受け取ることができます(※令和6年度)。

あわせると、岸本家の公的年金のみの年間収入は283万6000円(202万円+81万6000円)。月額換算すると、65歳から1月あたり約23万6000円です。

確定給付企業年金とiDeCoはいくらになる?

続いて他の年金の受取額を見てみましょう。確定給付企業年金の受取見込額は300万円です。年金として受け取る場合には、毎年約14万5000円、月額約1万2000円です。

iDeCoには53歳から、毎月1万2000円を拠出しており、運用利回りは現状でおよそ5%とのこと。利回りがこのまま推移すれば65歳まで積み立てる場合のトータル積立元本は約173万円です。運用利回りの5%を踏まえると、運用益は約62万円、運用結果は約235万円と予想されます。

65歳で一括で受け取る場合は約235万円。年金として受け取る場合には、5年間で毎年約47万円、10年間で約24万円、15年間で約15万円、20年間で約12万円です。

65歳完全引退に備えて考えるべきこと

65歳からは公的年金として月額で約23万6000円。確定給付企業年金は月額約1万2000円、公的年金との合計は月額約24万8000円です。さらにiDeCoですが、例えば5年間で受け取るとすると、月額約4万円が加わり、合計で月額約28万8000円となります。現在の生活費にもよりますが、住宅ローンも完済している夫婦二人であれば、生活できる水準ではないかと考えられます。

一方で確定給付企業年金を一括で受け取れば300万円。iDeCoは約235万円となり、合計で約535万円が受給見込み額です。この金額に預貯金を含めた2100万円をあわせれば約2600万円。公的年金の毎月約23万6000円が加われば、心強い金額になるのではないでしょうか。

岸本さんの場合、老後を考えて資金を準備していたこともあり、例え60歳時点で退職しても65歳までの生活費を預貯金だけで賄うことも可能そうです。

とはいえ、今の60歳はまだまだ働き盛り。65歳で引退を予定しているのなら、それまでは可能な限り働いて収入を得る方が良いのではないでしょうか。

飯田 道子/ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト。金融機関勤務を経て1996年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住相談や金融・保険情報を得意としている。数秘&カラーの上級トレーナーとしての顔を持ち、セッション等も行っている。