不動産投資は何千万円もかかると思われがちだが、数万円でも不動産に投資できるのが不動産投信(REIT)の魅力で、平均の利回りも5%あってNISAとの相性もよいが、注意点もある。
REITの分配利回りは約5%
日本のREITであるJ-REITの平均分配金利回りは年5.04%。日経平均銘柄の予想配当利回りが1.87%(2024年12月)、プライム市場の全銘柄の予想配当利回り2.29%と比べても利回りが高いことが分かる。国内市場には現在57社が上場しており、最高で9.1%、最低でも3.8%ある。
不動産投資信託(REIT)の仕組みは、ファンドを通じて不動産に投資するというもので、特徴は、株式投資と同様に東証で売買できるほか、現物の不動産(ビルやマンションなど)を買うほど金額も必要がないこと、個人では直接投資できない、ホテルや商業施設などの物件にも投資できることなどだ。一般的に分配金は年2回支払われる。
分配金利回りが高いJ-REITは、「非課税、長期、複利効果」で安定的に利益を積みあげて、無理をしない資産形成ができるNISAの投資対象として相性がいい。
NISA枠で投資できるREITは、「成長投資枠」であって「つみたて投資枠」ではない。
REIT投資の5つの注意点
分配利回りの高さは確かに魅力的だが、以下のような注意点もある。
・ 安定性は高いが景気、金利などの影響を受けやすい
・ 賃料、不動産売買動向などで分配金が減る可能性がある
・ NISA対象の投信やETFより運用管理費、信託報酬などが高い傾向がある
・ NISAのつみたて投資枠では対象外
・ オフィス型、商業施設型、住宅型、物流施設型、ホテル型、複合型などの種類があり、値動きの特徴が異なる(オフィスや物流は景気の影響が大きく、商業施設は消費の影響が大きく、住宅型は比較的安定的)
金利上昇でREIT価格が下落、今は狙い目か?
東証は、J-REIT全銘柄を対象にした株価指数・東証REIT指数を公表しているが、ここ数年を振り返ると、2019年10月の2262円をピークに下落基調。2024年12月3日現在、1658円まで下げている。ここまで下がった今、買い時なのだろうか?
REITの分配金は、運用する法人が得た不動産の賃料収入や売却益で、その収入の90%以上を投資家に分配される。収益が影響を受けるのは、金利、賃料の上下、空室率、売買収益などで、株と同様に好業績のときは買われ、業績悪化のときは売られることも多い。
過去10年の分配金利回りは3%から5%の幅で上下しており、低くとも3%。株式ならこの水準なら、高配当銘柄と言えるので、決して見劣りはしない。
ここまでの値動きを見ると、これ以上、大きく下がる可能性は低いとも考えられる。
なぜなら、オフィス賃料の上昇期待と収益回復が見込めるからだ。東京都心のオフィス平均空室率は5ヵ月連続で下落し(三鬼商事公表)、東京都心5区大規模ビルの募集賃料は緩やかながら10ヵ月連続で上昇を記録するなど(三幸エステート公表)、市場の回復が目立つ。
明治安田アセットマネジメントは、国内リート市場は今後も底堅く推移すると予想している。ガバナンス強化や自己投資口取得による市場の活性化に加え、オフィス需要の増加や世界的な利下げ局面の影響を要因にあげている。
J-REIT価格は下落基調のため、底入れを見極めて、NISAを有効活用したい。
文/編集・dメニューマネー編集部