年金・iDeCo・保険を見直したい

話題の「iDeCo」加入者はどのくらい増えたのか? 一方、気になる公的年金額は改定でどのくらい増えるのか【2025年3月速報】

2025/03/03 12:00

iDeCoの総加入者数は前年同月比1.2倍に iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の最新概況が2025年3月3日に国民年金基金連合会より発表され、2025年1月の新規加入者数は4万7726人(前年同月比120.9%)、加入者総数は364万6300人(同100.8%)となりました。 新規加入者数の内訳は、第1号加

iDeCoの総加入者数は前年同月比1.2倍に

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の最新概況が2025年3月3日に国民年金基金連合会より発表され、2025年1月の新規加入者数は4万7726人(前年同月比120.9%)、加入者総数は364万6300人(同100.8%)となりました。

新規加入者数の内訳は、第1号加入者が3995人(同71.3%)、第2号加入者が4万2218人(同133.5%)、第3号加入者が1225人(同62.1%)となりました。

iDeCo新規加入者数の推移(2025年1月)拡大表示

出所:iDeCo公式サイト「加入等の概況」

前月に続き、第2号加入者(会社員・公務員)が大幅に増えています。その要因は2024年12月にiDeCoの制度内容が改正されたこと。1つは確定給付企業年金(DB等)加入の会社員と、公務員の掛金上限額が従来の1万2000円から最大2万円へ引き上げられたこと。もう1つはこれまでiDeCoに加入する際に勤務先に発行してもらう必要があった事業主証明書が廃止になったことです。

なお、iDeCoの全体の平均掛金額は1万6655円となりました。内訳は第1号加入者が2万7837円、第2号加入者が1万5290円、第3号加入者1万4513円となっています。拠出限度額が高い第1号加入者が最も多くなっています。

また、従業員のiDeCoに企業が掛金を上乗せ拠出するiDeCo+(イデコプラス、中小事業主掛金納付制度)は8651事業所(同120.3%)で実施、対象者数は5万5130人(同120.5%)となりました(2025年1月末)。

老齢基礎年金の月額は約1300円アップの6万9308円に

iDeCoは公的年金に上乗せする私的年金制度ですが、その土台となる公的年金の給付額についても新たな情報を押さえておきましょう。

2025年度(令和7年度)における年金額の改定が2025年1月24日に公表され、前年度から1.9%引き上げられることになりました。どのくらい増えるのでしょうか。

出所:厚生労働省

表の上段は国民年金(老齢基礎年金)の月額です。老齢基礎年金は満額で月6万9308円となり、これまでの月6万8000円から1308円のアップとなります。年額では83万1696円、前年度の81万6000円から1万5696円の増加になります。

下の段は厚生年金の月額例です。夫婦で受け取る合算(2人分)のモデルケースとなります※。2人で老齢基礎年金を含む月額23万2784円と、こちらは4412円アップします。年額では279万3408円、前年度の274万464円からは5万2944円の増加です。

※男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

上述のとおり金額は増えていますが、注意点もあります。

年金支える現役世代の負担鑑み

年金額は、物価や賃金の変動率に応じて毎年改定されます。具体的には、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回った場合、年金の支え手である現役世代の負担を鑑み、年金額は名目手取り賃金変動率を用いて改定されます。

2025年度の参考指標となる物価変動率は2.7%、名目手取り賃金変動率は2.3%ですので、物価変動率の方が上回ります。そのため年金額は名目手取り賃金変動率2.3%を用いて改定されます。

また、上記以外にもマクロ経済スライドという年金額を調整する仕組みがあります。年金額の上昇率が、物価や賃金の上昇率を上回らないようにするもので、現役世代の将来の年金の給付水準を確保するために実施されます。

2025年度はこのマクロ経済スライドによる調整(マイナス0.4%)が行われます。そのため年金額の上昇率は冒頭の1.9%となります(名目手取り賃金変動率2.3%-マクロ経済スライド調整率0.4%)。

マクロ経済スライドのイメージ

出所:首相官邸ホームページ

どのくらい増える? 5パターンの例

冒頭で年金額のモデルケースを示しましたが、ほかの5つの例(加入年金の種別と性別)もみてみましょう。どのくらい年金額がアップするのでしょうか。

2024年に行われた財政検証(公的年金財政をチェックする健康診断のようなもの)による、2024年度に 65 歳になる人の加入期間や収入をもとにした2025年度の年金額の概算を見てみましょう(月額)。

①厚生年金への加入期間が中心(20年以上)の男性…17万3457 円 (3234円増)

・備考…平均厚生年金期間:39.8年、平均収入:50.9万円 ※賞与含む月額換算。以下同。 基礎年金:6万8671 円、厚生年金:10万4786 円

②国民年金(第1号被保険者)期間中心(20 年以上)の男性…6万2344円(1156円増)

・備考…平均厚生年金期間:7.6年、平均収入:36.4万円、基礎年金:4万8008円、厚生年金:1万4335 円

③厚生年金期間中心(20年以上)の女性…13万2117円 (2463円増)

・備考…平均厚生年金期間:33.4年、平均収入:35.6万円、基礎年金:7万566円、厚生年金:6万1551 円

④国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)の女性…6万636 円(1127 円増)

・備考…平均厚生年金期間:6.5年、平均収入:25.1万円、基礎年金:5万2151円、厚生年金:8485円

⑤国民年金(第3号被保険者期間)中心(20 年以上)の女性…7万6810 円(1431 円増)

・備考…平均厚生年金期間::6.7年、平均収入:26.3 万円、基礎年金:6万7754 円、厚生年金:9056 円
(注1)備考の「基礎年金」には、基礎年金額(国民年金記録の免除等を反映させたもの)のほか、基礎年金に相当すると考えられる加算額(※)を含めている。(※)振替加算、経過的加算、付加年金。(注2)令和7年度の年金額は、令和6(2024)年財政検証・年金額分布推計を基に計算した令和6年度の年金額に、金額が改定されない付加年金を除き引上げ率 1.9%を乗じた額を合算して算出。付加年金額は ①24 円、②371 円、③34 円、④241 円、⑤77 円。(注3)端数処理のため年金額は内訳(基礎年金、厚生年金)の合計額と一致しない(出所:厚生労働省)。

公的年金にプラスアルファの選択肢「iDeCo」

令和7年(2025年)度の年金改定は、2025年6月支給(同4月、5月分)から適用されます。公的年金だけでは不安だという人は、iDeCoの利用も視野に入れてはいかがでしょうか。

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。