NISA・クレカ積立を始めたい

依然、突き抜けて流入額が大きい「S&P500」と「オルカン」、パフォーマンスでは中国株が復活!=2月投信概況

2025/03/14 07:30

三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年2月の公募ファンドの純資産残高は107兆3504億円で前月比で4兆2144億円減少した。純資産残高が減少するのは2024年8月以来6カ月ぶり。すべての資産別で純資産残高が減少し、「外国株式型」の減少額は3兆368億円と大きくなった。 資金流出入額は約1兆4570億円で、前月

三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年2月の公募ファンドの純資産残高は107兆3504億円で前月比で4兆2144億円減少した。純資産残高が減少するのは2024年8月以来6カ月ぶり。すべての資産別で純資産残高が減少し、「外国株式型」の減少額は3兆368億円と大きくなった。

資金流出入額は約1兆4570億円で、前月の約2兆130億円という史上最大の流入額と比較すると減額したもの、引き続き大きな資金流入になった。三菱アセット・ブレインズは「前月に当年分の新NISA枠が利用可能となったタイミングでみられた一括投資による資金流入が減速したことが、資金流入減少の主要因となった」と分析した上で、「年初に一括投資が支持された背景として、昨年は相場が右肩上がりで推移し、積立投資と比較して高いリターンを獲得した点が挙げられる」と指摘している。ただ、一括投資は積立投資と違って市場が下落した際に含み損を抱えてしまうというデメリットがある。3月に入ってからの世界的な株価下落が、今後の投信市場にとって過度な悲観材料とならないかどうか、今後の動向が注目される。

資産別にみると流入額の大きな資産クラスとしては「外国株式型」が約1兆2020億円(前月は約1兆8640億円)、「国内株式型」の約1590億円の順に資金を集めた。資金流出では「エマージング株式型」(約380億円)、「外国債券型」(約150億円)が大きな動きだった。

◆資金流入額ランキング上位に「国内株式型」が食い込む

資金流入額では、引き続き「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(流入額1859億円)と「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」(1794億円)が突き抜けて大きい。この2ファンドには積立投資の資金が大量に向かっていると推察され、資金流入額が簡単に減少するようなことがない。続いて「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース(毎月決算型、為替ヘッジなし、予想分配金提示型)」の956億円だった。前月は第3位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」は流入額が前月の約1097億円から約332億円に減って流入額ランキングでも第8位に後退した。

流入額ランキングは上位をこのところ「外国株式型」が独占してきたが、第7位に「国内株式型」の「日経225ノーロードオープン」が食い込んだ。同ファンドは前月は第30位だった。また、第11位に資産別で「その他」に分類される「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が前月の第24位からジャンプアップしている。ゴールドに投資するファンドは、第18位に「三菱UFJ純金ファンド」がランクインした。「外国株式型」一色ともいえた資金流入額ランキングに変化の兆しが出てきているのは、今後の市場変調の兆しといえるのかもしれない。

一方、2月に新規上場された「野村マッコーリー・プライベート・インフラ・ファンド」が約851億円の資金流入額でランキングの第4位になった。ファンド名に「プライベート」とあるように未上場の投資対象を組み入れるファンドだ。未上場株式に投資するファンドに続いて未上場のインフラを投資対象としたファンドも登場したことになる。新しいリスクをとる資産として大いに注目されていることがわかる。

◆パフォーマンスのトップは「ATMX+」

個別ファンドの月間騰落率ブル・ベア型、通貨選択型を除く)では、「エマージング株式型」の「iFreeNEXT ATMX+」の20.93%がトップになった。以下、「香港ハンセン指数ファンド」の13.68%、「iFreeActive チャイナX」の13.55%、「HSBC中国株式ファンド(3カ月決算型)」の12.59%など、中国株式に投資するファンドが軒並み上位を占めた。トップに立った「iFreeNEXT ATMX+」は、中国の「FANG」ともいえる「アリババ」「テンセント」「メイトゥアン・美団」「シャオミ・小米」の4銘柄を核として大手ハイテク企業を合計10社組み入れた指数「ATMX+」に連動する運用成果をめざす。

中国は不動産バブルの崩壊から、経済成長率が大幅に鈍化し、「日本化」といわれる少子高齢化も重なって将来の成長期待も損なわれてしまった。しかし、今年大きな話題になった生成AI(人工知能)「DeepSeek」によって、改めて米国に対抗するハイテク大国であることを思い起こさせることになった。中国株は、これまで物色の圏外に置かれてきただけに、人気に火が付いた後に燃え上がる火力が強くなった。

◆「フィデリティ・グロース・オポチュニティ」が利回りでトップを継続

分配金利回りのトップは前月に続いて「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドD」の33.33%だった。第2位、第3位も前月同様に「JPMアメリカ成長株ファンド(ヘッジなし、毎月)予想分配金提示型」の29.43%、「フィデリティ・米国株式ファンド F」が27.48%だった。第4位に、「イノベーション・インサイト世界株式戦略ファンド(予想分配金提示型)」(26.82%)が前月の第6位からランクアップし、前月第4位だった「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース(毎月決算型、為替ヘッジなし、予想分配金提示型)」(26.35%)が第5位に後退した。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。