2024年中に新NISAで金融商品を購入した全国10代~70代の男女7610人を対象に日本証券業協会が実施した調査「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」では、新NISAでの購入・売却金額や銘柄数、商品の購入・売却理由や損益などを聞いている。そのうち70代に絞った「つみたて投資枠」投資額について傾向を見ていこう。
【男性70代】つみたて投資枠「120万円」が約2割で1位
男性70代のつみたて投資枠の購入金額の分布では、非課税投資枠の上限額「120万円」が19.1%と最も多く、非課税メリットを最大限活用している傾向が見られる。一方で、「20万円~40万円未満」16.0%や「5万円未満」「40万円~60万円未満」がともに12.0%ずつなど、少額投資の割合も高く、購入金額は幅広くばらけている。

男性70代「つみたて投資枠」購入金額ランキング
1位 120万円 19.1%
2位 20万円~40万円未満 16.0%
3位 5万円未満 12.0%
3位 40万円~60万円未満 12.0%
5位 10万円~20万円未満 11.1%
6位 100万円~120万円未満 8.9%
7位 80万円~100万円未満 8.4%
7位 5万円~10万円未満 8.4%
9位 60万円~80万円未満 4.0%
(n=225)
70代といえば既に多くが年金を受給している年代だが、この結果から資産状況や投資姿勢には個人によって大きな違いがあることが分かる。
上限額いっぱいまで投資している人は、退職金や蓄えを活用している可能性がありそうだ。一方で、少額投資派には年金収入などから試験的に新NISAを始めたという人もいるだろう。全体として、リスク許容度や資産状況に応じて投資金額を決めている様子が見られる。なお、平均購入金額は56.5万円だった。
【女性70代】つみたて投資枠は「少額投資」で慎重な傾向
女性70代のつみたて投資枠の購入金額の分布では、「5万円未満」17.7%が最も多かった。

女性70代「つみたて投資枠」購入金額ランキング
1位 5万円未満 17.7%
2位 10万円~20万円未満 16.6%
3位 20万円~40万円未満 15.1%
4位 120万円 12.5%
5位 40万円~60万円未満 10.6%
6位 5万円~10万円未満 10.2%
7位 100万円~120万円未満 7.9%
8位 80万円~100万円未満 4.9%
9位 60万円~80万円未満 4.5%
(n=265)
次いで「10万円~20万円未満」16.6%、「20万円~40万円未満」15.1%と続いた。比較的、少額投資が上位を占めている。これはリスク回避的な投資姿勢や、年金収入の範囲での慎重な資産運用を志向していることを示唆している。
一方で、非課税投資枠の年間上限額「120万円」も4位(12.5%)と一定数いる。男性70代と比較すると上限額いっぱいまで投資している割合は低く、60万円~100万円の中間帯も少ないことから、全体として保守的な投資行動が特徴だ。少額から始め、様子を見ながら投資する傾向が強いと考えられそうだ。なお、平均購入金額は44.8万円だった。
70代のつみたて投資枠の利用傾向が分かったところで、成長投資枠の方はどのように活用しているのかも見ていこう。
●気になる「成長投資枠」の利用動向は後編【70代】新NISA“成長投資枠”投資額ランキング「速報版」 にて詳報している。
調査概要:「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」 調査主体:日本証券業協会 調査対象:2024年に新NISAで金融商品を購入した7610人 調査時期:2025年1月 調査方法:インターネット調査
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。