税制優遇が受けられるNISAとiDeCoの2つの制度があります。
NISAは運用益が非課税で、自由度が高いのが特徴です。一方、iDeCoは掛金が所得控除の対象になりますが、60歳まで引き出せません。
では、それぞれの制度をどう活用すれば、効率的に資産を増やせるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏が、NISAとiDeCoの違いと使い分けのポイントを解説します。(全3回の3回目)
●第2回:iDeCoとNISAのベストな使い分けは? 積み立てすぎにも注意
※本稿は、藤川太著『2025年度最新制度対応版 世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書』(宝島社)の一部を抜粋・再編集したものです。
加入できる条件と拠出できる金額
iDeCoには基本的に20歳以上65歳未満のすべての人が加入できます。
とはいえ、一定の加入条件があり、自営業者、学生、無職(国民年金第1号被保険者)、会社員(国民年金第2号被保険者)、専業主婦/主夫(国民年金第3号被保険者)、公務員であることが条件となっています。また、会社員の場合は20歳未満でも加入できます。
ただし、次の人はiDeCoに加入できません。
まず、国民年金保険料の未納者や免除者です。ただし過去に保険料を未納していても、加入時に納付していれば加入できます。また、免除者でも障害基礎年金を受給されている人などはiDeCoに加入できる場合もあります。
それから、会社員でも、企業型DCに「マッチング拠出制度」がある場合、iDeCoとの併用はできません。マッチング拠出とは、企業型DCにおいて、会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出することができる仕組みです。掛金額には次の2つの制約があります。
①マッチング拠出の掛金が、会社の掛金を超えないこと(改正後は撤廃される予定)。
②マッチング拠出の掛金と会社の掛金の合計額が月額5.5万円以内であること(会社が企業型DCだけでなくDB等も実施している場合、企業型DCの拠出限度額は、月額5.5万円からDB等他制度掛金相当額を差し引いた額になる)。
このように、企業が導入している年金制度によっても加入条件が変わってきますので、iDeCoに加入する場合は確認が必要です。
なお、iDeCoで拠出できる掛金の金額は、職業などによって異なります。詳しくは次ページの図を参考にしてください。
企業年金加入者の掛金上限がUP!
受け取り開始年齢の上限が70歳から75歳に拡大される、加入年齢が60歳未満から65歳未満に延長される、規約の定めがなくても企業型DCとiDeCoが併用できるようになるなど、iDeCoはこれまでにさまざまな改正を重ねてきました。働き方や暮らし方が多様化する昨今ですが、それに対応できるよう、制度も変更されているのです。
そして2024年12月には、掛金上限の一部引き上げが行われました。たとえば公務員の掛金上限は月1万2000円から月2万円に引き上げられ、年額にすると14万4000円から24万円に増額しました。
2025年の税制改正では、さらに大胆な掛金の増額が行われる見込みです。実施時期はまだ先ですが、さらに魅力が高まるiDeCoに注目が集まりそうです。

2025年度最新制度対応版 世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書

著者名 藤川 太
発行元 宝島社
価格 1,430円(税込)
藤川 太/ファイナンシャルプランナー
生活デザイン代表取締役。慶應義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事。その後2001年に家計の見直し相談センターを設立し、資産形成に関するアドバイスを行ってきた。『「新NISAバブル」に気をつけろ!』(プレジデント社)ほか、著書多数。無料の資産運用ロボットアドバイスサービス「ふくろう倶楽部」(https://club.mfukurow.com)を提供中。