ビジネストレンド・転職・海外情勢を知りたい

【4月退職の新人社員】入社式当日に退職を決意…強烈な違和感を植え付けた“社長の余計なひとこと”

2025/04/11 12:00

退職代行に届く新卒からのSOS 「なぜ、新卒が入社数日で辞めるのですか?」 4月に入って以降、「モームリ」には取材依頼が連日届いています。 退職依頼件数は4月7日時点で738件、そのうち2025年度の新卒者からの依頼は93件に上ります。 昨年と比べると約2倍のペース。ただし、新卒退職者の数自体が急増しているという

退職代行に届く新卒からのSOS

「なぜ、新卒が入社数日で辞めるのですか?」

4月に入って以降、「モームリ」には取材依頼が連日届いています。
退職依頼件数は4月7日時点で738件、そのうち2025年度の新卒者からの依頼は93件に上ります。

昨年と比べると約2倍のペース。ただし、新卒退職者の数自体が急増しているというよりも、「退職代行という選択肢」が浸透した結果といえるでしょう。

新卒退職の理由の多くは、“入社前とのギャップ”です。

会社側からは「たった数日で何がわかるのか」「今どきの若者は根性がない」といった声も聞こえてきそうですが——。

本当に、新卒の退職は“わがまま”なのでしょうか?

社長のひと言で芽生えた違和感

田中悠真さん(仮名・22歳)はインフラを手がける中堅企業に新卒入社しました。業績は好調で、将来性に惹かれたといいます。採用担当者は物腰が柔らかく、よき相談相手でもありました。

しかし、入社式で田中さんの期待は不安に一変します。

「君たちはもう学生じゃない。甘ったれるな!」

社長の怒声が響く中、社員たちはただ無言で聞くしかありませんでした。会社の急成長を支えていたのは、社長の強烈なリーダーシップだったのです。周りは社長に口を出せなくなっていました。田中さんは直感的に「自分には合わない」と感じたそうです。

さらに研修が始まると、違和感は確信に変わりました。

• 社長の言葉を一字一句書き取らされる
• 10時間を超える研修では、休憩なし・水分補給禁止
• エレベーター禁止、すべて階段移動
• 研修中は携帯電話を預けさせられ、外部との連絡も制限

「これは研修ではなく、洗脳じゃないか」と田中さんは思ったそうです。

また社員寮という閉ざされた環境もあって、自分の力では辞められないと感じた田中さんは、退職代行サービスに連絡を入れました。

●数日で退職を決意した田中さんは、その後どうなったのでしょうか? 後編【「これは研修ではなく、洗脳じゃないか」入社即退職を決めた新卒社員…真面目な性格ゆえに抱えた悩みと罪悪感】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

谷本 慎二/アルバトロス代表取締役、退職代行モームリ代表

1989年、岡山県生まれ。2007年に神戸学院大学へ入学。2012年に東証一部上場の大手接客・サービス業に入社し、入社5年でエリアマネージャー昇格。2022年2月1日に株式会社アルバトロスを設立し、退職代行事業「退職代行モームリ」を開始。退職代行の利用者は2万2000人を超える。 メディア取材(TV、雑誌、新聞、海外メディア含む)は400社以上を受け、離職率低下のための講演会依頼も多数。また、著書として『退職代行業者が今すぐ伝えたい!Z世代が辞めたい会社』を出版。