年金・iDeCo・保険を見直したい

“実の母”のように慕っていた92歳義母が他界、60代女性が年金手続きで直面した「予想外の展開」

2025/04/29 11:00

年金を受給していた人が亡くなると、その遺族に年金の手続きが発生します。しかし、手続きをする遺族は、亡くなった人の配偶者や子だけとは限りません。 夫亡き後も義母と同居を続けた理由 実和さん(仮名・60歳)は、かつて夫の幸司さん、義母(幸司さんの母)の弘子さんと暮らしていました。弘子さんには妹がいましたが、戦時中の幼い

年金を受給していた人が亡くなると、その遺族に年金の手続きが発生します。しかし、手続きをする遺族は、亡くなった人の配偶者や子だけとは限りません。

夫亡き後も義母と同居を続けた理由

実和さん(仮名・60歳)は、かつて夫の幸司さん、義母(幸司さんの母)の弘子さんと暮らしていました。弘子さんには妹がいましたが、戦時中の幼い頃に亡くなってしまい、弘子さんと亡き夫との間の子は幸司さんだけでした。また、実和さんと幸司さんとの間に子はいません。

そんな中で幸司さんが2023年12月に64歳で亡くなってしまいます。実和さんは既に両親と兄を亡くしており、親族は遠く離れて暮らす姪や従兄弟くらいしかいないため、身近な親族は義母の弘子さんだけになっていました。

弘子さんも「今まで妹も両親も夫も亡くしてきたけど、息子まで私より先に他界するなんて……私の家族は実和さんだけになっちゃったなぁ」と思っています。実和さんは幸司さんと結婚以来、弘子さんとの仲は良好で、弘子さんを実の母のように慕っていました。そのため、幸司さん亡き後も引き続き一緒に暮らしていました。

相次ぐ別れで気がかりな年金手続き

しかし、息子・幸司さんを亡くしてから弘子さんは元気がなくなって身体も急速に弱り始め、2025年3月に92歳で亡くなってしまいました。

実和さんは幸司さんに続き、弘子さんの葬儀を取り仕切ることにもなります。夫に続いてまた身近な人を亡くした実和さんは動揺しますが、亡くなった後の手続きを進めないといけないと思い、慌ただしく動き始めます。

弘子さんは年金受給者でした。そのため、実和さんは「年金関係といえば、夫(幸司さん)が亡くなった時は遺族年金の手続きをしたけど、今回は私に何か必要な手続きはあるのかな……」と気になります。

年金事務所に相談に行くために事前に電話で問い合わせをします。すると、弘子さんの親族として誰がいるか細かく聞かれましたが、どうやら実和さんには年金の手続きがあるようです。具体的にどのような手続きがあるのでしょうか。

●実和さんのような義理の親族にも年金の手続きができるのでしょうか。後編【義母が残した最後の贈り物? 親族の相次ぐ他界で手続きに追われる中…60代女性が発見した「未支給年金」の存在】で、年金事務所での相談内容と、意外にも知られていない未支給年金の受給要件についてお伝えします。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。