【トランプショック、企業各社の反応は?】「生産地は変更できる」ユニクロ・柳井氏の訴え

2025/04/30 18:00

「生産地の国際分業がこれだけ確立されている中で、今回の関税政策は無理がある。冷静に、合理的に考えたら、こんなことは続かないし、米国が孤立する元になると思う」 カジュアル衣料品店『ユニクロ』を手掛ける、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏はこう語る。 中国を中心に、ベトナムやバングラデシュなど、東南アジアで多くの製
「生産地の国際分業がこれだけ確立されている中で、今回の関税政策は無理がある。冷静に、合理的に考えたら、こんなことは続かないし、米国が孤立する元になると思う」

 カジュアル衣料品店『ユニクロ』を手掛ける、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏はこう語る。

 中国を中心に、ベトナムやバングラデシュなど、東南アジアで多くの製造拠点を構えるユニクロ。中国だけでなく、ベトナムなどにも高い相互関税が課され、同社の経営に与える影響は大きそうだが、同社はグループ全体で下期の事業利益に与える影響は約2~3%のマイナスと試算している。

 ユニクロは、25年2月末時点で、国内外に2513店舗を展開。このうち、中国大陸が918店舗、日本が792店舗で、米国はわずか69店舗。主戦場とするアジアに比べて、米国での店舗展開が遅れていることが、同社が今回の関税措置の影響が低いと考える要因だろう。

 2025年8月期・中間期(24年9月―25年2月)において、北米ユニクロ事業は約25%の増収増益だった。もっとも今後、米国でインフレがさらに進めば、米国国民の消費意欲が減退し、同社の経営に響く恐れはある。

「われわれは生産地をいくらでも変更できる。もし分断されたとしても、関税に対応できることをやっていく」と語る柳井氏。

 自らができることを粛々とやっていくだけ─―という柳井氏の信念と覚悟が伝わってくる。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト・矢嶋康次が読む『トランプ2.0』