【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説
日経平均株価は、「平均」という言葉が名前に入っていることから分かるように、日本を代表する企業の中から、日本経済新聞社(日経新聞を発行している会社)が特に選抜した225社の株価の平均値です。
仲間入りが難しい「東証1部」の2,100社から選ばれた225社
これら225社は、東京証券取引所の1部市場に上場している約2100社(2021年4月現在)から選ばれています。
そもそも証券取引所に上場するだけでも様々な条件をクリアしなければいけませんが、その中でも最上位に位置する「東証1部」への上場のハードルは高く、株主数が800人以上で、最近2年間の利益の総額が25億円以上必要です。1部の下の「東証2部」の条件が株主400人以上、最近1年間の利益の総額が1億円以上ですので、1部と2部で大きな差があることが分かります。
なお、日経平均株価は1950年から算出されていますが、225社については定期的にその時の日本経済を表す形で銘柄の入れ替えが行われています。
算出開始からずっと選ばれている会社には、味の素<2802>やキッコーマン<2801>、旭化成<3407>などがあります。最近選ばれた会社としては、ソフトバンク<9434>などがあります。シャープ<6753>のように、一度除外されたものの、再度選ばれた会社もあります。
企業の「現在と将来の価値」を示す株価の平均値だから傾向が分かる
そんな日経平均株価は、経済ニュースでは必ず報じられます。なぜそんなに大切なのでしょうか。
会社の業績が好調であれば、「この会社はまだ成長していきそうだ」と考えられます。すると、株価は上がります。株価は「現在及び将来の会社の価値」と考えられるからです。逆に業績が悪くなったり、景気が悪化したりすると株価は下落します。
ここで大切なのは、株価が「現在の会社の価値」だけでなく「将来の会社の価値」も示すという点です。株価は、その会社の今後への期待や警戒感が現れていると言い換えることができます。
具体的には、ある1日の株価の動きを見ても、上昇する会社もあれば下落する会社もあります。すべての会社が上昇、または下落するということはあまりありません。そして、基本的に株価上昇した会社が多ければ平均値は上昇し、下落した会社が多ければ低下します。
こうした背景から、日経平均株価が経済の先行きを表す先行指標とされ、重視されているのです。
最近、日経平均が大きく下落したのは2020年3月です。新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言発動によって、世界的な経済活動の先行き悪化を警戒して多くの会社の株価が下落したためです。「コロナショック」とも呼ばれ、日本に限らず世界中の株価指数が大きく下落しました。
このように経済の先行きを表している日経平均株価は、冒頭で述べた会社の経営者や投資家のみならず、政治家も重要な数値として推移を気にしています。
日経平均が重要なのは世相を表し、先行きも示しているから
日経平均株価は、産業構造の変化を反映させることを目的に銘柄の入れ替えを行っていることから、世相を表しているとも言われます。そして選抜されている会社の将来の業績への期待値も加わっているため、将来の経済状況を表しているわけです。
日経平均株価が強い上昇を続けている時は「経済は上向き」との見方となりますし、反対に下落基調が続くと「将来の経済悪化への不安が高まっている」ことの表れになります。こうしたことから、日経平均株価がとても重要視されている訳です。
文・村瀬智一(RAKAN RICERCAアナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)