2024年中に新NISAで金融商品を購入した全国の10代~70代の男女7610人を対象に実施された「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」(日本証券業協会)。同調査では購入・売却金額や銘柄数、購入・売却商品とその理由や損益などを聞いている。そのうち年収300万円~500万円未満の人たちの「つみたて投資枠」(1770人)、「成長投資枠」(1452人)の投資額について傾向を見ていこう。
【年収300万円~500万円未満】つみたて投資枠1位「20万円~40万円未満」
年収300万円~500万円未満の人のつみたて投資枠の購入金額は、「20万円~40万円未満」が20.2%と最も多かった。仮に年間30万円として計算すると、年初から開始していた場合は月額2万5000円の積立額となる。

【年収300万円~500万円未満】「つみたて投資枠」購入金額ランキング
1位 20万円~40万円未満 20.2%
2位 10万円~20万円未満 15.1%
3位 5万円未満 13.4%
3位 120万円 13.4%
5位 40万円~60万円未満 11.8%
6位 5万円~10万円未満 10.2%
7位 60万円~80万円未満 7.2%
8位 100万円~120万円未満 5.0%
9位 80万円~100万円未満 3.6%
(n=1770)
1位「20万円~40万円未満」から3位「5万円未満」までをトータルすると、「5万円未満~40万円未満」で約5割を占める。年収300万円~500万円未満でつみたて投資枠を活用している人は少額投資から始めている人が半数程度ということになる。
一方で、同率3位には「120万円」(13.4%)の満額回答もランクイン。月にならすと10万円の積立額だ。月間10万円を積み立てている層はどの年収帯でも一定率いるが、これにはいわゆるクレカ積立の影響もあるかも知れない。クレカ積立とは新NISAで運用する投資信託の積立額の決済をクレジットカード決済にすることでポイントが貯まるサービス。一部の金融機関で導入しているところもある。
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【年収300万円~500万円未満】成長投資枠1位は僅差で「20万円~50万円未満」
年収300万円~500万円未満の人の成長投資枠の購入金額は、「20万円~50万円未満」が16.9%と最多だった。

【年収300万円~500万円未満】「成長投資枠」購入金額ランキング
1位 20万円~50万円未満 16.9%
2位 240万円 16.7%
3位 10万円未満 16.6%
4位 50万円~100万円未満 14.7%
5位 10万円~20万円未満 12.6%
6位 100万円~150万円未満 9.6%
7位 200万円~240万円未満 8.1%
8位 150万円~200万円未満 4.8%
(n=1452)
ただし、2位は「240万円」16.7%、3位「10万円未満」16.6%とほぼ同率。以降も4位「50万円~100万円未満」14.7%、5位「10万円~20万円未満」12.6%と約2ポイントずつの差で収まっている。
1位から3位の傾向を見ると、10万円未満、20万円~50万円未満の合計が約34%と少額投資派の存在が約3割、一方で満額の240万円は約2割と、二極化していることが分かる。
新NISAは自分に合った方法で活用しよう
新NISAを活用するには3つのポイントを押さえておきたい。
・目的を明確に…老後資金など長期的な資産形成を目指すならつみたて投資枠、住宅購入や子どもの教育費など中期的な資金調達に期待するなら成長投資枠など使い分けを意識する。
・リスク許容度を考慮…自分がどれくらいのリスクを許容できるかを考える。リスク許容度とは、投資においてどれだけのリスク(価格変動)を受け入れられるかという目安のこと。投資した資産がどの程度の損失を被ったら、自身が心理的・経済的に耐えられそうにないかを事前に想定しておくことが重要だ。
・分散投資を行う…投資対象の資産や地域、投資する時間(タイミング)を分散することでリスク軽減につながる。何に投資するかは多様な情報から取捨選択することが必要だ。分散投資は「卵を一つのカゴに盛るな」という格言にも例えられ、リスク管理の基本として知られている。卵を1つのカゴに盛って、いざという時にすべての卵が同時に割れてしまうことのないよう、投資でも常にリスク分散に目を光らせたい。
調査概要:「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」 調査主体:日本証券業協会 調査対象:2024年に新NISAで金融商品を購入した7610人 調査時期:2025年1月 調査方法:インターネット調査
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。