トランプ大統領の「自動車関税」は、日本の自動車メーカーにどのような影響を与える?

2025/05/02 13:00

輸出前の自動車が置かれたヤード。 (c)Imaging L – stock.adobe.com「トランプ関税」が発動すると、日本車の競争力が失われるおそれも「トランプ関税」が課されると、日本の自動車メーカーが市場での競争力を失うリスクが生じると言われている。ホワイトハウスによるとトランプ大統領は2025年4月2日、貿易

輸出前の自動車が置かれたヤード。 (c)Imaging L – stock.adobe.com

「トランプ関税」が発動すると、日本車の競争力が失われるおそれも

「トランプ関税」が課されると、日本の自動車メーカーが市場での競争力を失うリスクが生じると言われている。

ホワイトハウスによるとトランプ大統領は2025年4月2日、貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえ、自国(アメリカ)の関税を引き上げる「相互関税」を導入する旨を、演説で明らかにしました。同措置は、アメリカ東部時間の4月5日から発動されています。
関税とは、外国から商品を輸入する際に国が課す税金のことで、国内の産業を保護する目的で導入される場合があります。これは安価な外国製品が大量に輸入されることで、国内企業が価格競争にさらされて経営が苦しくなる恐れがあるためです。こうした事態を防ぐために、政府は輸入品に関税をかけて価格を引き上げ、国内産業の競争力を維持しようとします。
そして、トランプ政権ではこの関税を積極的に活用し、貿易不均衡の是正や、自国製造業の復活を目指す姿勢が強調されました。例えば、アメリカに輸入される自動車や主要な自動車部品について、25%の追加関税を課す措置が発動しています。
日本は世界有数の自動車輸出国として多くのクルマを海外に送り出しており、特にアメリカの市場では、日本車は燃費性能や品質の高さで一定の評価を得ています。しかし、こうした高い関税が課されるようになったことで、自動車業界からは販売価格の上昇や製造コストの増加につながるなどとして懸念の声が上がっています。
関税によって価格が上昇すれば、現地の消費者にとって日本車は割高な存在となり、同じ価格帯で購入できる国内メーカーのクルマに需要が流れる可能性があります。その結果、日本の自動車メーカーにとっては輸出の採算が悪化し、市場での競争力を失うリスクがあるからです。

日本メーカーへの影響はそれほど大きくないとの噂も

人気車種の多くはアメリカで生産されていることから、影響はそれほど大きくないとの声もあるようだ。

日本の自動車メーカーへの影響については多くの議論が交わされていますが、SNSなどでは「それは一様ではない」といった声も少なくありません。
実際、トヨタ、ホンダ、日産といった主要メーカーは自社のWebサイトで、アメリカやアジア、欧州などの市場で積極的に現地生産をおこなっている旨を公表しています。
たとえば、ホンダが2025年1月に発表した資料「2024年12月度 四輪車 生産・販売・輸出実績」によれば、ホンダは2024年に100万4749台のクルマを、アメリカで生産しました。一方、日本国内からアメリカへの輸出台数は、5379台と非常に少ない数字となっています。
このような企業にとっては、関税によって輸入車が不利な立場に置かれたとしても、影響は限定的であると考えられます。
また、ホワイトハウスによると、アメリカ国内で自動車を生産するメーカーを対象に、輸入する自動車部品に課される関税について負担を軽減する措置をとるとも発表されています。この措置は、ホンダのようなメーカーには追い風となりますが、輸出にたよるメーカーにとってはさらなる逆風となるでしょう。

関税政策が、今後どのように変化するかは未知数

関税政策が今後どのような方向に進むのかについては、現時点では明確な見通しが立っていない。

アメリカの関税政策が今後どのような方向に進むのかについては、現時点では明確な見通しが立っていません。
政権の状況や国際的な交渉の行方によって大きく変わる可能性があり、自動車業界にとっては先行きの不透明感が残る状況です。さらに、これまで現地生産を進めてきたメーカーであっても、部品の調達や物流全体に影響が及ぶ可能性があるため、予断を許さない状況です。
そのため、多くの自動車メーカーが慎重な姿勢を保ちつつ、政策の変化に柔軟に対応できる体制づくりを進めていると考えられます。不安定な環境下で、各メーカーがどのように舵を取るのか注目していきたいところです。